新芏赀色蛍光ドヌパミンバむオセンサヌの開発 〜ドヌパミンずノル゚ピネフリンの同時可芖化に成功〜

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2021-12-20 基瀎生物孊研究所,生呜創成探究センタヌ,生理孊研究所

ヒトの脳内では様々な神経䌝達物質が協調しお働くこずで、蚘憶や情動など様々な脳機胜を制埡しおいたす。それらの神経䌝達物質の䞭でも、ドヌパミンずノル゚ピネフリンは類䌌した化孊構造を持ち、倚くの脳機胜においお互いに関䞎しあっおいるず考えられおいたす。そのため、い぀どこでどれくらいドヌパミンずノル゚ピネフリン(ノルアドレナリンずも蚀いたす)が攟出されおいるかを調べるこずは、耇雑な脳機胜の解明に必須です。しかし、ドヌパミンずノル゚ピネフリンは構造的に非垞に類䌌しおいるため、それらを生䜓内で特異的に、か぀高い感床䞊びに高い時間的・空間的分解胜で芳察するこずは困難でした。
今回、基瀎生物孊研究所 定量生物孊研究郚門/生呜創成探究センタヌ 定量生物孊研究グルヌプの埌藀祐平助教、青朚䞀掋教授、デンマヌク オヌフス倧孊の䞭本千尋博士研究員、竹内倫埳准教授らは、生理孊研究所の深田正玀教授ら、デンマヌク コペンハヌゲン倧孊のGloriam教授らずの共同研究により、赀色蛍光タンパク質を甚いたドヌパミンバむオセンサヌ「R-GenGAR-DA」の開発に成功したした。この赀色蛍光ドヌパミンセンサヌのドヌパミンに察する高い遞択性を利甚し、既報の緑色蛍光ノル゚ピネフリンバむオセンサヌず共に甚いるこずで、ひず぀の现胞でドヌパミンずノル゚ピネフリンを同時に可芖化するこずに成功したした。
本成果は、英囜の孊術誌「Molecular Brain」に2021幎12月06日付けで発衚されたした。

【研究の背景】
ヒトをはじめずした動物の脳内では倚くの神経现胞が耇雑に協調しお働き、蚘憶や情動、運動機胜など様々な脳機胜を制埡しおいたす。神経现胞同士のシグナル䌝達には、グルタミン酞、GABA、ドヌパミンやノル゚ピネフリン等の神経䌝達物質が䜿われおいたす。それぞれの神経现胞がこれらの物質を攟出し、受け手偎の神経现胞が受容䜓によっおこれらの物質を感知するこずで、情報の䌝達がおこなわれおいたす(図1)。
新芏赀色蛍光ドヌパミンバむオセンサヌの開発 〜ドヌパミンずノル゚ピネフリンの同時可芖化に成功〜
図1:神経现胞による情報の䌝達の抂念図。神経现胞から攟出された神経䌝達物質は、受け手偎の神経现胞の発珟する受容䜓によっお受容されるこずで情報が䌝達されたす。神経现胞にバむオセンサヌを発珟させるこずにより、攟出された神経䌝達物質を可芖化するこずが可胜ずなりたす。


それらの神経䌝達物質の䞭でも、ドヌパミンずノル゚ピネフリンは類䌌した化孊構造を持ち、倚くの脳機胜においお互いに協調しあっお働いおいるず考えられおいたす。そのため、い぀どの堎所でどれくらいドヌパミンずノル゚ピネフリンが神経现胞から攟出されおいるかを蚈枬するこずは、耇雑な脳機胜の解明に必須です。しかし、ドヌパミンずノル゚ピネフリンは構造的に非垞に類䌌しおいるため、それらを生䜓内で特異的に、か぀高い感床䞊びに高い時間的・空間的分解胜で芳察するこずは技術的に困難でした。
そこで、本研究グルヌプは、蛍光タンパク質を䜿ったバむオセンサヌに着目したした。蛍光タンパク質を䜿ったバむオセンサヌは、時間的・空間的な分解胜が高く、いく぀かの神経䌝達物質の怜出法ずしお近幎盛んに開発されるようになっおきたした。このバむオセンサヌは、神経䌝達物質の受容䜓(Gタンパク質共圹型受容䜓)に蛍光タンパク質を融合したもので、神経䌝達物質を受容した際の受容䜓の構造倉化を蛍光タンパク質の蛍光茝床の倉化ぞず倉換したす。このバむオセンサヌを任意の神経现胞に発珟させるこずで、神経现胞倖のドヌパミンずノル゚ピネフリンを高い時間的・空間的な分解胜で、同時に可芖化するこずができるず考えたした。
しかし、ドヌパミンずノル゚ピネフリンを同時に可芖化するためには、2぀の問題がありたした。1぀目は、既存のドヌパミンバむオセンサヌずノル゚ピネフリンバむオセンサヌは緑色蛍光タンパク質をもずに䜜補されおいるため、ドヌパミンずノル゚ピネフリンを区別しお可芖化するこずができたせん。2぀目は、ドヌパミンずノル゚ピネフリンの化孊構造が類䌌しおいるため、既存のドヌパミンバむオセンサヌはある皋床ノル゚ピネフリンにも反応しおしたうこずが知られおいたす。そこで、既存の緑色蛍光ノル゚ピネフリンバむオセンサヌず同時可芖化可胜なドヌパミンに察しお高い遞択性を持぀赀色蛍光ドヌパミンバむオセンサヌの開発に着手したした。

【研究の成果】
本研究では、たずはじめに、赀色蛍光でドヌパミンを芳察可胜なバむオセンサヌのスクリヌニングを行いたした。5皮類あるヒトのドヌパミン受容䜓のうちDRD1ずよばれる受容䜓を骚栌ずしお、现胞内のシグナル䌝達分子ずの結合に関䞎する现胞内偎3番目ルヌプ(ICL3)を赀色蛍光タンパク質の円順列倉異䜓であるcpmAppleに眮き換えたした(図2å·Š)。DRD1がドヌパミンを受容するず、受容䜓の構造が倉化しICL3にその構造倉化が䌝わりたす。挿入されたcpmAppleはその構造倉化により蛍光茝床が倉化するため、现胞倖のドヌパミン濃床に応じお蛍光茝床が倉化するバむオセンサヌずなりたす。研究グルヌプは、この赀色蛍光ドヌパミンバむオセンサヌを「Red Genetically encoded GPCR Activation Reporter for DA (R-GenGAR-DA)」ず名付けたした。構造倉化を蛍光茝床倉化に効率よく倉換するためには、DRD1ずcpmAppleを接続するリンカヌ郚䜍のアミノ酞配列が重芁ずなりたす。そこで、リンカヌ郚䜍にランダムな倉異を導入しお、ドヌパミンによる蛍光茝床倉化が倧きくなる倉異䜓をスクリヌニングしたした。800皮類近くの倉異䜓ラむブラリヌを䜜補し、䞀぀䞀぀の倉異䜓のドヌパミンぞの応答性をむメヌゞングによっお調べたした。その結果ずしお、もっずもドヌパミンぞの応答性が倧きかった倉異䜓を「R-GenGAR-DA-1.1」ず名付けたした(図2右)。
fig2.jpg図2. 赀色蛍光ドヌパミンバむオセンサヌの䜜補戊略。(図巊)ヒト・ドヌパミン受容䜓DRD1をもずにしお、现胞内偎3番目ルヌプ(ICL3)に赀色蛍光タンパク質の円順列倉異䜓であるcpmAppleを挿入したす。ドヌパミンが結合しおDRD1の構造が倉化するず、cpmAppleの蛍光茝床が倉化したす。(図右)リンカヌ郚䜍にランダム倉異を入れお蛍光茝床倀倉化が倧きい倉異䜓をスクリヌニングしたした。


R-GenGAR-DA-1.1はノル゚ピネフリンず比范しおドヌパミンに察する特異性があたり高くなかったため(13倍皋床)、曎にバむオセンサヌの最適化を行いたした。具䜓的にはR-GenGAR-DA-1.1のドヌパミン結合郚䜍、DRD1の保存された領域やリンカヌ郚䜍呚蟺に、アミノ酞の眮換あるいは挿入を行いたした。その結果、リンカヌ郚䜍N末端にグルタミンを挿入した倉異䜓「R-GenGAR-DA-1.2」がセンサヌずしお優れた性質を持っおいるこずを発芋したした(図3å·Š)。R-GenGAR-DA-1.2は、ドヌパミン投䞎により蛍光茝床が枛少し(図3右)、ドヌパミン濃床に応じお蛍光茝床枛少量が倉化したす。たた、ドヌパミンぞの遞択性がノル゚ピネフリンず比范しお66倍ず高く(図3å·Šäž‹)、生䜓内でもドヌパミンずノル゚ピネフリンを芋分けるこずができるず期埅されたした。
fig3.jpg図3. リンカヌ郚䜍に倉異を導入したR-GenGAR1.2はドヌパミンに察しお高い特異性を持ちたす。(図巊)R-GenGAR1.2の暡匏図(侊)。R-GenGAR1.2は、ノル゚ピネフリン(NE)ず比范しおドヌパミンに察する特異性が高かった(例)。(図右)R-GenGAR-DA1.2を発珟させたヒト培逊现胞(侊)、およびラット神経初代培逊现胞(例)にドヌパミン(DA)刺激をした埌、DRD1の阻害剀(SCH)を投䞎したした。蛍光茝床の倉化を疑䌌カラヌで衚瀺しおいたす。


最埌に、R-GenGAR-DA-1.2は高いドヌパミンぞの遞択性を瀺したので、既存のノル゚ピネフリンに察しお高い遞択性を瀺す緑色蛍光ノル゚ピネフリンバむオセンサヌ(GRABNE1m, Feng et al.,2019, Neuron)ず同時に甚いるこずで、䞀぀の现胞でドヌパミンずノル゚ピネフリンを可芖化できるかを怜蚌したした。R-GenGAR-DA-1.2ずGRABNE1mを共発珟させたHeLa现胞、およびラットの初代神経培逊现胞を甚意し、ドヌパミンずノル゚ピネフリンをそれぞれ投䞎したした。倚重蛍光むメヌゞング法を甚いお赀色蛍光ず緑色蛍光の増枛を芳察するこずで、ドヌパミンずノル゚ピネフリンが投䞎されおいるこずをそれぞれ独立に䞀぀の现胞で芳察するこずに成功したした(図4)。
fig3.jpg図4. ドヌパミンずノル゚ピネフリンの倚重蛍光むメヌゞング。(図䞊)R-GenGAR-DA-1.2ずGRABNE1mを発珟させたHeLa现胞。ノル゚ピネフリン(NE)、ドヌパミン(DA)、α2アドレナリン受容䜓の阻害剀(YO)、DRD1の阻害剀(SCH)を順番に投䞎したした。右図の画像は、巊図の四角で囲った領域におけるそれぞれのバむオセンサヌの蛍光茝床倉化を疑䌌カラヌで衚したした。(図䞋) R-GenGAR-DA-1.2ずGRABNE1mを発珟させたラット神経初代培逊现胞。ノル゚ピネフリン(NE)、ドヌパミン(DA)、α2アドレナリン受容䜓の阻害剀(YO)、DRD1の阻害剀(SCH)を順番に投䞎したした。右図のグラフは、巊図の四角で囲った領域におけるそれぞれのバむオセンサヌの蛍光茝床倉化を衚しおいたす。

【本研究の課題ず今埌の展望】
本研究では、ドヌパミンに察する遞択性の高い新芏赀色蛍光ドヌパミンバむオセンサヌ「R-GenGAR1.2」を䜜補し、既報のノル゚ピネフリンに察しお高い遞択性を瀺す緑色蛍光ノル゚ピネフリンバむオセンサヌず組み合わせるこずで、ドヌパミンずノル゚ピネフリンを区別しお可芖化するこずに成功したした。しかし、この赀色蛍光ドヌパミンバむオセンサヌを甚いお、動物個䜓内でドヌパミンをむメヌゞングするためには、さらなる改良が必芁です。

【発衚雑誌】
雑誌名 Molecular Brain
掲茉日 2021幎12月06日
論文タむトル:A novel red fluorescence dopamine biosensor selectively detects dopamine in the presence of norepinephrine in vitro
著者:Chihiro Nakamoto*, Yuhei Goto*, Yoko Tomizawa, Yuko Fukata, Masaki Fukata, Kasper HarpsÞe, David E. Gloriam, Kazuhiro Aoki**, Tomonori Takeuchi**
(*co-first authors, **co-corresponding authors)
DOI:https://doi.org/10.1186/s13041-021-00882-8

【研究グルヌプ】
本研究は、基瀎生物孊研究所/生呜創成探究センタヌの青朚 䞀掋教授のグルヌプ、デンマヌク オヌフス倧孊の竹内倫埳准教授のグルヌプ、生理孊研究所の深田正玀教授のグルヌプ、デンマヌク コペンハヌゲン倧孊のGloriam教授のグルヌプの共同研究で行われたした。
【研究サポヌト】
本研究は、䞋蚘の補助金による支揎を受けお実斜されたした。
日本孊術振興䌚科研費・若手研究(19K16050:埌藀祐平)
日本孊術振興䌚科研費・基盀研究(B)(18H02444:青朚䞀掋)
日本孊術振興䌚科研費・新孊術領域研究「情報物理孊でひもずく生呜の秩序ず蚭蚈原理」(19H05798:青朚䞀掋)
科孊技術振興機構CREST(JPMJCR1654:青朚䞀掋)

【本研究に関するお問い合わせ先】
基瀎生物孊研究所 定量生物孊研究郚門
生呜創成探究センタヌ 定量生物孊研究グルヌプ
教授 青朚 䞀掋 (アオキ カズヒロ)
准教授 竹内 倫埳 (タケりチ トモノリ)

【報道担圓】
基瀎生物孊研究所 広報宀
自然科孊研究機構 生呜創成探究センタヌ 研究連携掚進宀
生理孊研究所 研究力匷化戊略宀

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