脳の状態によって変化する中脳の機能地図~方位・方向選択性マップの動的性質の発見~

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2021-12-21 京都大学

哺乳類の視覚情報は、大脳皮質の視覚野や、中脳の上丘と呼ばれる領域で処理されます。これらの視覚系の脳の領域では、網膜に写った外界の場所に対応する地図情報が脳の中に存在することが知られています。これまでの研究で、視覚野では線の傾きや、動きの方向に対応した脳内地図が存在することも知られてきました。中脳の上丘は、進化的に古くから発達している領域ですが、最近になって上丘にも同様の地図様の反応パタンを持つ可能性が報告されました。しかし、その性質や結果の信憑性について議論が続いています。

今回、笠井昌俊 医学研究科助教と伊佐正 同教授は、2光子顕微鏡という特殊な顕微鏡を用いて、生きたマウスの上丘の神経細胞集団の活動パタンを可視化し、異なる脳の状態(起きているとき vs 麻酔で寝ている時)での反応の違いを比較しました。その結果、イソフルラン麻酔をかけた場合、上丘の地図様の反応パタンが明確になるのに対して、覚醒条件では、地図様の反応パタンが曖昧になることを発見しました。脳内の地図は「いったん形成された後は安定的に維持される」と考えられてきましたが、本研究結果は、脳内地図の柔軟な性質を明らかにすると共に、古い視覚系の視覚情報処理のメカニズムの解明につながる発見だと考えられます。

本研究成果は、2021年12月6日に、国際学術誌「Journal of Neuroscience」にオンライン掲載されました。

脳の状態によって変化する中脳の機能地図~方位・方向選択性マップの動的性質の発見~
図:(左)実験の概要図。マウスに視覚刺激を見せながら、上丘の視覚応答を2光子顕微鏡で記録。(中)1つ1つの丸が上丘の神経細胞を表す。個々の細胞がどの方向に動く刺激によく反応するかを矢印と色で示す.覚醒下と麻酔下における、同一の細胞集団の反応パタンの変化を比較した図。(右)1つ1つのバーが上丘の神経細胞を表す。個々の細胞がどの傾き(方位)の刺激によく反応したかを、バーの傾きと色で示す。覚醒下と麻酔下における反応パタンを比較した図。

詳しい研究内容≫

研究者情報
研究者名:笠井昌俊
研究者名:伊佐正

生物化学工学
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