自己集合性ワクチンアジュバントの発見

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2020-10-07 京都大学

上杉志成 高等研究院物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)副拠点長(化学研究所 教授)、ダニエル・パックウッド同講師、倉田博基 化学研究所教授、時任宣博 同教授、石井健 東京大学教授、山崎晶 大阪大学教授らの研究グループは、工業生産可能な新しいタイプのワクチンアジュバントを発見しました。

臨床応用されている多くのワクチンにはアジュバントとよばれる補助剤が必要であり、アジュバントによってワクチンの作用が増強され持続します。しかし、臨床応用されているアジュバントの数は少ないという課題があります。新興ウイルスなどの新しい病原体に適したアジュバントを選択するには、多種のアジュバントを準備する必要があります。

免疫応答やアジュバント活性には、物質の大きさが関与しています。本研究グループは8,000個の化学物質の中から水中で自己集合して巨大化する化合物を選び、その中からワクチンアジュバント活性のある化合物を見いだしました。その化合物の類縁体を化学合成することによって強力なアジュバント活性をもつ化合物を発見し、コリカマイドと名付けました。

コリカマイドは自己集合してウイルスに似た大きさと形状になり、免疫細胞に取り込まれ、Toll-like receptor 7というウイルス受容体に認識されます。いわば、ウイルスになりすまして免疫細胞を活性化するのです。マウスにインフルエンザワクチンと共に投与すると、インフルエンザワクチンの効果を増強し、マウスがインフルエンザに耐えうるようになりました。コリカマイドは化学構造が単純であり、工業化が可能です。今後、コリカマイドやその類縁体は新興ウイルスワクチンのアジュバントとして応用されると期待されます。
本研究成果は、2020年9月26日に、国際学術誌「Angewandte Chemie International Edition」に掲載されました。
図:本研究グループは、ウイルスに似た形状を形成する新しい種類のワクチン補助分子を発見した。

((c)高宮ミンディ/京都大学アイセムス(CC BY-NC-SA 4.0))

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