ピアニストの繊細なタッチをさらに高める手法を発見 ~技能の限界を突破するトレーニング理論の解明へ~

ad
ad

2020-11-21 科学技術振興機構

ポイント
  • 膨大なトレーニングを経た熟練者の運動技能をさらに高める方法は未解明だった。
  • 鍵盤重量を変えられるピアノを用いた研究から、運動中の力触覚を高めるトレーニングがピアニストの打鍵力の正確性を高めることを明らかにした。
  • 熟練者の技能の限界を突破するトレーニング法の開発や脳神経系の原理解明に役立つと期待される。

JST 戦略的創造研究推進事業において、株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所の平野 雅人 博士と古屋 晋一 博士らは、ピアニストの繊細なタッチをさらに高めるトレーニング法を発見しました。

ピアニストやアスリート、外科医などの熟練者は、膨大な練習を経て高度な技能を獲得しています。これをさらに向上することは難しく、限界を突破する方法は未解明でした。

研究グループは、力の強さや方向を任意に操作できる「ハプティックデバイス」を用いてピアノの鍵盤の重さを自在に操作するシステムを開発し、鍵盤の重さの違いを弁別する課題と回答の正誤の提示を繰り返すことで、指先の力触覚が向上し、繊細に力を制御する能力が向上することを明らかにしました。このような能力向上は、通常の反復練習では見られず、ピアノ経験のない一般人にも認められませんでした。

この発見は熟練者の技能の向上の限界を突破する新しいトレーニング理論の解明や、熟練者の特異的な脳の柔らかさ(可塑性)の仕組みの解明、過剰な訓練によって手指の機能が低下する脳神経疾患のリハビリテーション法の開発などに役立つことが期待されます。

本研究成果は、2020年11月20日(米国東部時間)に国際科学誌「Science Advances」のオンライン版で公開されます。

本成果は、以下の事業・研究領域・研究課題によって得られました。

戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)

研究領域:「人間と情報環境の共生インタラクション基盤技術の創出と展開」
(研究総括:間瀬 健二 名古屋大学 大学院情報学研究科 教授)

研究課題名:「技能獲得メカニズムの原理解明および獲得支援システムへの展開」

研究代表者:小池 英樹(東京工業大学 情報理工学院 教授)

研究期間:平成29年10月~令和5年3月

JSTはこの領域で、人間、機械、情報環境が共生する社会での相互作用に関する理解を深め、人間同士から環境全体まで多様なインタラクションを高度に支援する情報基盤技術の創出と展開を目指します。上記研究課題では、手指の巧みな動きを生み出す仕組みの解明と熟達支援に取り組んでいます。

詳しい資料は≫

<論文タイトル>
“Overcoming the ceiling effects of experts’ motor expertise through active haptic training”
(エキスパートの運動技能の天井効果を突破するアクティブハプティックトレーニング)
DOI:10.1126/sciadv.abd2558
<お問い合わせ先>

<研究に関すること>
平野 雅人(ヒラノ マサト)
株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所 ポストドクトラルフェロー

<JSTの事業に関すること>
舘澤 博子(タテサワ ヒロコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 ICTグループ

<報道担当>
科学技術振興機構 広報課

タイトルとURLをコピーしました