細胞内の不良ミトコンドリアを処理する新たな機構を解明 ~遺伝性パーキンソン病の治療法開発に期待~

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2020-11-26 大阪大学,科学技術振興機構

ポイント
  • パーキンソン病において、機能不全に陥ったミトコンドリアを処理する新たな機構として、機能不全ミトコンドリアを細胞外へ放出し処理をする、ミトコンドリア放出現象を発見した。
  • 一部の遺伝性パーキンソン病では、細胞の中で機能不全に陥ったミトコンドリアの分解が起きにくいことが知られており、分解を受けずに残ってしまった機能不全ミトコンドリアがどのように処理されているのかは不明であった。
  • ミトコンドリアを介したパーキンソン病発症機構の解明が進み、ミトコンドリア放出現象に関連した新たなバイオマーカーや治療法開発につながることが期待される。

大阪大学 大学院医学系研究科 Chi-Jing Choong(チュン チジン) 特任研究員(常勤)、奥野 龍禎 助教、望月 秀樹 教授(神経内科学)の研究グループは、パーキンソン病(PD)において機能不全に陥ったミトコンドリアを処理する新たな機構として、ミトコンドリア放出現象を見いだしました。

PDは、全身のふるえ(振戦)、動作の遅さ(動作緩慢)、筋肉の硬さが出現する神経疾患です。遺伝性PDの一部では細胞内でミトコンドリアを分解するミトファジーに関連したタンパク質の異常が報告されており、機能不全に陥ったミトコンドリアの分解が起きにくいことが分かっていました。しかしながら、細胞の中で分解を受けずに神経細胞に残ってしまった機能不全ミトコンドリアがどのように処理されているかは不明でした。

今回、研究グループは品質の悪化したミトコンドリアが細胞外に放出されることにより処理されていることを発見しました。遺伝性PDの発症に関わるタンパク質の一つであるParkin(パーキン)は機能不全ミトコンドリアを細胞内で分解する働きがあります。Parkinに異常があり、ミトコンドリアが分解できない患者さんの細胞からはミトコンドリアの放出が顕著に増加しており、また、脳脊髄液ではミトコンドリア関連タンパク質が増加していることを明らかにしました。今回の成果により、PDを始めとする神経変性疾患のミトコンドリアを介した発症機構の理解が進み、それを基にした新たなバイオマーカーや治療法の開発が行われることが期待されます。

本研究成果は2020年11月20日(米国時間)に、米国の学術雑誌「Autophagy」オンライン版に掲載されました。

本研究結果は、日本学術振興会・科学研究費補助金、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)、新学術領域研究・学術研究支援基盤形成「先端バイオイメージング支援プラットフォーム」(ABiS)、日本医療研究開発機構(AМED) 難治性疾患実用化研究事業、革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト(革新脳)などの支援を受けて行われました。

詳しい資料は≫

<論文タイトル>
“Alternative mitochondrial quality control mediated by extracellular release”
DOI:10.1080/15548627.2020.1848130
<お問い合わせ先>

<研究に関すること>
奥野 龍禎(オクノ タツサダ)
大阪大学 大学院医学系研究科 神経内科学 助教

<JST事業に関すること>
保田 睦子(ヤスダ ムツコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 ライフイノベーショングループ

<報道担当>
大阪大学 大学院医学系研究科 広報室
科学技術振興機構 広報課

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