双極性障害の新たな治療を目指して

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2021-03-15 国立精神・神経医療研究センター

双極性障害治療の難しさ遷延する抑うつ状態

双極性障害とは

双極性障害は気分が高揚する「躁」状態と、気分が落ち込む「抑うつ」状態を経験する精神疾患です。健康な方でも気分は多少変動しますが、双極性障害では変動の幅が非常に大きくなります。
ちょうどいい気分状態を目指す治療は、天秤をつり合わせるイメージに似ています。天秤の重りは患者さんの体調や双極性障害の自然な変動によって常に変化しますので、バランスを保つ難しさが想像できると思います。
患者さんにとってちょうどいい範囲の気分状態で安定させるための治療は、気分安定薬を主剤とした薬物療法が中心になります。どの薬が効くかは個人差があり、相性の良い薬が簡単に見つかるとは限りません。合う薬がなかなか見つからず、長期にわたって気分が落ち込み苦しむ患者さんもいます。

磁気による治療rTMSへの期待

rTMSのメカニズム

8の字型のコイルに瞬間的な電流を流すことでその周りに変動磁場が生じ、変動磁場によって渦電流(誘導電流)が惹起されます(ファラデーの電磁誘導の法則)。この渦電流によって脳内の神経細胞を刺激することが可能になりこれをTMS(磁気刺激)といいます。 TMSを規則的に繰り返し行うものをrTMS(反復経頭蓋磁気刺激)と言い、治療効果が期待されています。
rTMSは刺激をする脳の部位や1秒間に何回刺激するかという刺激頻度、刺激の強さ、1回の治療で刺激する時間、そして、刺激日数など実施方法によって効果が異なることが分かっています。日本では2019年6月に抗うつ薬で十分な効果が得られないうつ病に対してrTMSが保険適応(左前頭前野を高頻度で刺激)されました。私たちは双極性障害の抑うつ状態への効果を期待して、右前頭前野への低頻度刺激のrTMSを先進医療で行っています。

先進医療から保険収載を目指して

rTMS運動閾値測定中の様子

先進医療とは、将来的な保険制度導入の可能性について評価を行う目的で、先進的な医療技術と保険診療を併用できる制度とされています。つまり、先進医療は患者さんにとってより良い医療かどうかを探る重要な制度なのです。
本研究は、先進医療技術名「反復経頭蓋磁気刺激療法」、適応症「薬物療法に反応しない双極性障害の抑うつエピソード」として2019年3月1日に厚生労働省より承認されました。保険導入の可能性を評価するため、1:1の比率で実刺激と偽刺激へランダムに割り付けられる二重盲検ランダム化比較試験という研究方法によって、国際的なデータ管理のもと、特定臨床研究として厳密に行なわれます。本研究は、施設基準を満たした4つの保険医療機関で実施します。
私たちは、先進医療によって双極性障害へのrTMSの有効性と安全性を検証し、治療が難しい双極性障害抑うつ状態へのrTMS療法の保険収載を目指しています。

 

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