たんぱく質間相互作用の不可逆阻害に成功 ~抗がん剤開発のための新しい戦略~

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2021-03-19 京都大学,科学技術振興機構

京都大学 大学院工学研究科の浜地 格 教授、田村 朋則 同講師、上田 毅 同博士課程学生(研究当時、現:協和キリン)らは、がんの発生に関与するたんぱく質間相互作用を強力に阻害する不可逆阻害剤を新たに開発しました。

たんぱく質の多くは生体内で他のたんぱく質と相互作用しながらその機能を発揮しており、たんぱく質間相互作用(protein-protein interaction:PPI)を制御できる小分子阻害剤は生命現象の理解や疾病の治療に有用です。しかし、一般に広く浅いPPI表面に小分子阻害剤は強く結合できないため開発が難しく、また薬効が低いという課題がありました。このような背景の下、本研究グループはN-アシル-N-アルキルスルホンアミド(NASA)と呼ばれる反応基を阻害剤分子に組み込むことで、「一度くっついたら離れない」PPI不可逆阻害剤の開発に成功しました。本研究では、がん化に関与するPPIとして重要なHDM2(human double minute2)-p53相互作用を標的としてNASA型不可逆阻害剤を開発し、その薬効が従来の阻害剤よりも強力かつ長時間持続することを実証しました。NASA反応基は他のさまざまな種類の阻害剤設計に適用可能であり、今後、PPI不可逆阻害剤開発のための一般性の高い戦略として創薬研究を加速することが期待されます。

本成果は、2021年3月18日(現地時間)に米国の国際学術誌「Journal of the American Chemical Society」にオンライン掲載されました。

科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 総括実施型(ERATO)

研究領域:「浜地ニューロ分子技術」(研究総括:浜地 格 京都大学 教授)
文部科学省 科学研究費助成事業 新学術領域研究

研究領域:「分子夾雑の生命化学」(領域代表者:浜地 格 京都大学 教授)

研究課題名:「分子夾雑下での生命分子の直接修飾/機能解析を実現する有機化学」(研究代表者:浜地 格 京都大学 教授)
文部科学省 科学研究費助成事業 新学術領域研究

研究領域:「「生命金属科学」分野の創成による生体内金属動態の統合的研究」(領域代表者:津本 浩平 東京大学 教授)

詳しい資料は≫

<論文タイトル>

“Enhanced suppression of a protein-protein interaction in cells using small-molecule covalent inhibitors based on N-acyl-N-alkyl sulfonamide warhead”
(N-アシル-N-アルキルスルホンアミド基を有する小分子不可逆阻害剤を用いたたんぱく質間相互作用の強力な阻害)
DOI:10.1021/jacs.1c00703
<お問い合わせ先>

<研究に関すること>
田村 朋則(タムラ トモノリ)
京都大学 大学院工学研究科 合成・生物化学専攻 講師

<JST事業に関すること>
加藤 豪(カトウ ゴウ)
科学技術振興機構 研究プロジェクト推進部 グリーンイノベーショングループ 調査役

<報道担当>
京都大学 総務部 広報課 国際広報室
科学技術振興機構 広報課

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