遺伝学的タンパク質除去:AID2による細胞及びマウス個体におけるタンパク質高速分解

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2020-11-12 国立遺伝学研究所

The auxin-inducible degron 2 technology provides sharp degradation control in yeast, mammalian cells, and mice

A Yesbolatova, Y Saito, N Kitamoto, H Makino-Itou, R Ajima, R Nakano, H Nakaoka, K Fukui, K Gamo, Y Tominari, H Takeuchi, Y Saga, K Hayashi, MT Kanemaki

Nature Communications 11, 5701(2020) DOI:10.1038/s41467-020-19532-z

タンパク質の働きを調べるには、そのタンパク質を除去して何が起きるのかを調べることが有効です。また、狙ったタンパク質の除去を任意のタイミングで制御できれば、タンパク質の機能を制御することができます。このようなニーズの中で、近年、「プロテインノックダウン」と呼ばれる、細胞内のタンパク質分解系を利用して標的タンパク質を分解する方法が注目されています。

国立遺伝学研究所の鐘巻将人教授を中心とする研究グループは、目印になる「デグロンタグ」を付加したタンパク質を分解除去する「AID2法」を開発し、出芽酵母、培養細胞、マウス個体において本方法が機能することを示しました。この方法では、タンパク質の分解を5-Ph-IAAという化合物と変異型TIR1ユビキチンリガーゼによって制御します。本技術により、狙ったタンパク質を必要な時のみ、素早く分解除去することが可能になったのです。AID2法を利用したタンパク質の発現操作は、生命科学の基礎研究に役立つのみならず、医学および創薬研究にも役立つことが期待されます。

本研究は国立遺伝学研究所の鐘巻将人教授が中心となり、同研究所の相賀裕美子教授、岡山理科大学の林謙一郎教授、東京大学の竹内春樹特任准教授、佐々木研究所の中岡博史部長、ファイメクス株式会社による共同研究により行われました。

本研究は日本学術振興会科研費(16K15095, 18H02170, 18H04719, 20H05396)、科学技術振興機構A-STEP(AS2915150U)、武田財団特定研究助成、AMEDナショナルバイオリソースプロジェクト基盤技術整備プログラムの支援により遂行されました。

本成果は英国科学雑誌Nature Communicationsに2020年11月11日(水)午後7時(日本時間)に掲載されました。

Figure1

図: AID2により、酵母、培養細胞、マウス個体において迅速な標的タンパク質分解制御が可能になった。

詳しい資料は≫

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有機化学・薬学
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