新型コロナ感染を抑制する生体内因子の発見~病態解明や治療薬開発の可能性へ~

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2021-04-12 京都大学

橋口隆生 ウイルス・再生医科学研究所教授らの研究グループは、竹田誠 国立感染症研究所部長、松山州徳 同室長、冨田有里子 同研究員、片岡寛章 宮崎大学教授、前仲勝実 北海道大学教授、福原秀雄准 同教授らの研究グループと共同で、一部の生体内タンパク質分解酵素に対する生理的阻害物質HAI-2(hepatocyte growth factor activator inhibitor 2)がSARS-CoV-2の感染抑制因子であることを発見しました。HAI-2を培養液に添加するとSARS-CoV-2の感染が阻害されました。また、siRNA法で肺上皮細胞株のHAI-2の発現量を減らすと、SARS-CoV-2の感染が促進されました。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が効率よく感染するためには、ウイルスのスパイクタンパク質が、ヒトの細胞上にある酵素の一つであるタンパク質分解酵素TMPRSS2で切断(開裂)されなければなりません。すなわちTMPRSS2の活性はSARS-CoV-2の感染に非常に重要です。しかし、TMPRSS2の生理的な活性制御やSARS-CoV-2感染との関連については、よくわかっていませんでした。

本研究成果はHAI-2がSARS-CoV-2を生理的にも抑えている可能性を示しています。HAI-2の研究は、SARS-CoV-2感染症(COVID-19)の病態解明のみならず創薬ターゲットとしても重要であると考えられます。

本研究成果は、2021年3月31日に、国際学術誌「Journal of Virology」のオンライン版に掲載されました。

本研究の概要図
図:本研究の概要図

詳しい研究内容≫

研究者情報
研究者名:橋口隆生

医療・健康
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