骨を長く伸ばす仕組みの一端を解明~C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)は軟骨細胞内Ca2+シグナルを活性化して骨伸長を促す~

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2022-03-16 京都大学

市村敦彦 薬学研究科助教、宮崎侑 同博士課程学生らの研究グループは、軟骨細胞内カルシウムイオン(Ca2+)動態を独自の手法で解析することによって、強力な骨伸長促進作用を持つC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)が軟骨細胞内のCa2+シグナルを活性化していることを発見しました。

本研究グループは、2019年に軟骨細胞が正常に機能し骨が伸びるためにはTRPM7という陽イオンチャネルを介して自発的に細胞内に流入するCa2+が必要であることを同定していました。今回、CNPの持つ骨を伸ばす生理機能にはTRPM7を介した細胞内Ca2+シグナル経路の活性化が必要であることがわかりました。CNP類縁ペプチドVOXZOGOTMが軟骨無形成症という骨の短縮を引き起こす遺伝性疾患の治療薬として2021年に米国や欧州で承認されました。本邦でもまもなく承認される見通しであり、臨床応用の観点から注目が高まっています。今回の発見はCNPが軟骨細胞にどのように働いて骨を伸ばしているのかという仕組みの一端を解明した新知見であり、これまで不完全だったCNP作用の分子メカニズムが明らかになりました。今後、解明した細胞内Ca2+シグナル経路を利用してCNPの作用を増強する手法を開発したり、シグナル経路に関与する分子の活性を調節することで骨を伸ばす物質を見つけ出したりできることが期待されます。これらの研究成果は、薬学研究科と医学研究科、同メディカルイノベーションセンター、工学研究科および岐阜大学との共同研究により得られました。

本研究成果は、2022年3月15日に、国際学術雑誌「eLife」にオンライン掲載されました。

本研究の概要図
図:本研究の概要図

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研究者情報
研究者名:市村敦彦

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有機化学・薬学
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