2024-10-22 東京大学
発表のポイント
- 日本において、診療所の特性が、急性呼吸器感染症への不適切な抗菌薬処方とどう関連するかこれまでわかっていなかった。
- 約97万人の成人患者を対象とした分析の結果、院長の年齢・診療所の患者数・診療所の医師数が、抗菌薬の処方、特に広域スペクトラム抗菌薬の処方と関連していた。
- 本研究の結果は、抗菌薬を多く出す傾向にある診療所にフォーカスを当てた働きかけを行うことで、抗菌薬の適切な処方を効果的に推進できる可能性があることを示唆している。
概要
東京大学大学院医学系研究科の宮脇敦士特任講師、同医学部医学科の青山龍平(6年生)、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の津川友介准教授らによる共同研究チームは、診療所における非細菌性の急性呼吸器感染症(いわゆる風邪)に対する抗菌薬処方率に、院長の年齢・診療所の患者数・診療所の医師数(グループ診療vs.単独診療)が関連することを明らかにしました(図1)。日本全国の診療所における97万人以上の外来受診データの分析の結果です。世界規模で抗菌薬の過剰使用が問題となる中、日本でも抗菌薬の適切な処方に向けた取り組みが進んでいますが、目標を十分に達成できているとは言えません。本研究は、抗菌薬の処方傾向に診療所間でばらつきがあることを示しており、より的を絞った働きかけが有効である可能性を示唆しています。
本研究成果は、2024年10月21日(米国中部夏時間)に米国医師会(American Medical Association)が発行する医学雑誌「JAMA Network Open」にオンライン掲載されます。