認知機能低下の抑制に有効なプログラムの展開
2020-07-20 国立長寿医療研究センター
国立長寿医療研究センターとSOMPOホールディングスは、高齢者の生活習慣改善を通じて認知機能低下を予防するプログラムを開発し、日本における認知症発症リスクを減少させることを目指す。
SOMPOホールディングス株式会社(グループCEO執行役社長:櫻田 謙悟、以下「SOMPOホールディングス」)は、国立研究開発法人国立長寿医療研究センター(理事長:荒井 秀典、以下「国立長寿医療研究センター」)およびFINGERS Brain Health Institute(CEO:マリス・ハートマニス、以下「FBHI」)と共同で、高齢者の生活習慣改善を通じて認知機能低下を予防するプログラム「SOMPOスマイル・エイジングプログラム」(以下、「本プログラム」)を開発し、展開を開始します。
1.背景・経緯
2018年に認知症の方の数は500万人を超え、2025年には高齢者の約5人に1人、2060年には約3人に1人が認知症になるといわれています。認知症は誰もがなりうるものであり、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」という目的での認知症予防サービスのニーズが高まっています。
SOMPOグループは、2015年の介護事業本格参入を契機に認知症に関する社会的課題をグループ全体で解決するべき重要な課題ととらえ、2017年9月に国立長寿医療研究センターと包括連携協定を締結しました。「認知症に備える・なってもその人らしく生きられる社会」を目指し、認知症に関するさまざまなソリューションを提供しています。
また、2019年5月には、認知機能低下予防に資する高齢者生活習慣への介入研究分野の第一人者であるカロリンスカ研究所(※1)のミーア・キビペルト教授とアドバイザリー契約を締結しています。
2.本プログラムの概要
本プログラムは、科学的根拠に基づくアプローチを全国に展開することで、日本における認知症発症リスクの減少を目指します。世界で初めて認知機能低下抑制効果を実証した高齢者の生活習慣への介入研究「FINGER研究」(※2)をベースとし、研究を率いたキビペルト教授およびFBHIが公認する「FINGER研究の全国規模の社会実装プログラム」となります。
SOMPOグループは、介護事業・生活習慣病予防事業で培った知見・経験を活かし、国立長寿医療研究センターの監修のもとで、日本人の特性に合わせたプログラムを開発しました。
3.本プログラムの内容
(1)サービス内容
- サービスは、国立長寿医療研究センターとFBHIが監修したガイドラインに基づき構築された、運動・栄養指導・認知機能訓練・社会参加という4つのサービスプログラムをトータルパッケージとして提供します。
- 6か月を1セットとするプログラムを継続的に実施することで、生活習慣改善・行動変容を促し、認知機能低下を抑制することを目指します。
- プログラムは、専門的な知見・経験を有するSOMPOホールディングスのグループ会社およびサービスパートナー企業が実施します。
- 運動:SOMPOケア株式会社(以下、「SOMPOケア」)の介護予防運動指導員・スポーツケアトレーナー等の専門資格を有する社員が実施。
- 栄養指導:SOMPOケアの子会社であるSOMPOケアフーズ株式会社(以下、「SOMPOケアフーズ」)の管理栄養士、および生活習慣病予防事業で日本最大規模の保健師・看護師・管理栄養士のネットワークを有するSOMPOヘルスサポート株式会社が連携し、サービスを提供。
- 認知機能訓練:サービスパートナー企業である株式会社トータルブレインケアの認知機能別トレーニングツール「CogEvo(コグエボ)」を使用。
- 社会参加:プログラム全体を通じて参加者同士の交流を図る仕組みを構築。
(2)対象者
本プログラムは、認知症ではない健常な方・MCI(軽度認知障害)と診断された方から認知症の方までを対象とします。幅広い方々へ「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」という価値をお届けします。
(3)サービス提供
高齢者の方々のお住まいの場・通いの場で、本プログラムを提供いたします。SOMPOケアの施設のご入居者・ご利用者・地域高齢者の方々への施設を活用したサービス提供に加え、新型コロナウイルス感染拡大に伴い家の中で過ごす時間が増えている方々に向けてウェブ配信でご活用いただけるプログラムの提供を行います。
(4)展開スケジュール
2020年7月10日より6か月間、SOMPOケアにおいて希望されるご利用者さまに対して試行的にサービスを提供しています。その後、全国のSOMPOケアのご利用者さまを含む地域の方々、SOMPOグループのお客さまへ、順次拡大してサービスを提供していきます。
4.今後の展望
SOMPOグループの持つサービス基盤・チャネルを通じた展開に加え、将来的には外部の企業・自治体・団体等との更なる連携を通じて、本プログラムを広く展開します。
SOMPOグループは、国内のみならず海外の最先端の研究・知見を積極的に活用し、国内最大規模の保険事業および介護事業を展開するグループならではの総合力を活かして、認知症に関するソリューションの開発・提供に取り組んでいきます。そして、本プログラムを通じて、「認知症に備える・なってもその人らしく生きられる社会」の実現を目指していきます。
以上
<注釈>
※1 ノーベル生理学・医学賞の選考委員会がある世界最大の医学系教育研究機関です。
※2 FINGER研究とは、2009 年から2011 年にかけてフィンランドで行われた「高齢者の生活習慣への介入による認知機能障害予防の研究」です。1,260 名の高齢者を対象に、食事指導・運動指導・認知トレーニング・生活スタイル指導の4つの介入を同時に行うことで、軽度の認知機能障害の進行を抑制することを世界で初めて証明しました。
2019年からは、日本においても、国立長寿医療研究センターが代表機関、SOMPOホールディングスが分担機関となって、認知症発症リスクの高い高齢者の方々を対象とし、認知症予防プログラムによる認知機能低下の抑制に対する有効性を検証することを目指した「認知症予防を目指した多因子介入によるランダム化比較試験(通称:J-MINT研究)」を実施しています。
【参考】
■FBHIの概要
FBHIは健康的な脳の老化を促進し、革新的な多因子介入臨床研究を通じて認知機能障害と認知症を予防し、研究結果をより迅速に各個人に合わせた介入と治療に反映できるようにするため、カロリンスカ研究所のミーア・キビペルト教授とマリス・ハートマニス教授によって、スウェーデンのストックホルムに2019年に設立されたNPO法人です。
*ホームページ https://fbhi.se/?lang=en
■SOMPOホールディングスの概要
SOMPOホールディングスは、1888 年創業の損害保険ジャパン株式会社や1981 年設立のSOMPOひまわり生命保険株式会社等の保険事業を中核とし、介護事業などに事業領域を拡大しています。お客さまの幸せな人生をサポートする「安心・安全・健康のテーマパーク」を構築し、認知症に関する社会的課題の解決に貢献するため、2017 年9 月には国立長寿医療研究センターと包括連携協定を締結、そのアドバイスを活かし、2018年10月には、グループ横断で「認知症に備える・なってもその人らしく生きられる社会」を目指す「SOMPO認知症サポートプログラム」を立ち上げ、展開しています。
*ホームページ https://www.sompo-hd.com/
■SOMPOケアの概要
SOMPOグループの介護事業会社であるSOMPOケアは、全国に介護付きホームやサービス付き高齢者向け住宅を400以上、加えて豊富な介護サービスを提供している550以上の在宅事業所を展開しています。
企業内大学「SOMPOケア ユニバーシティ」による人材育成や、大学・専門教育機関との連携による共同研究・共同事業、食事や栄養に関する企画・商品開発等を行う「SOMPOケア FOOD LAB」を展開し、「介護の総合ブランド」として、ご利用者さまの尊厳を守り自立支援に資する介護を全社一丸となって追求しています。
*ホームページ https://www.sompocare.com/
■SOMPOヘルスサポートの概要
生活習慣改善支援、健康情報提供、メンタルヘルス対策などの「こころと身体」両面でのヘルスケアサービスを通じて、お客さまの「安心・安全・健康」への取組みを支援しています。生活習慣病を予防する特定保健指導事業では日本全国 1,400 以上の専門職ネットワークを有し、1 年間に健康保険組合など 600 団体18 万人に指導する特定保健指導のリーディングカンパニーです。
認知症リスクは生活習慣病により高まることが分かっており、これまで培ってきた人材・ノウハウをもとに認知症予防のための生活習慣改善支援事業への取組みを進めています。
*ホームページ https://www.sompo-hs.co.jp/
■株式会社トータルブレインケアの概要
株式会社トータルブレインケアは、「認知機能の見える化」で、人々が主体的にQOLの向上と真の健康を手に入れ、生涯現役を実現すると共に、医学・医療・介護分野で培った実績とアカデミアとの共同で得られたエビデンスにより、健康経営・スポーツ分野においても、様々なソリューションと共に次世代型ヘルスケアビジネスを創造し続けます。
*ホームページ https://tbcare.jp/
お問い合わせ先
◆SOMPOホールディングス株式会社
広報部 担当 小田
シニアマーケット事業部 担当 金子
◆国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 総務課 担当 里村