2021-06-09 京都大学
塩見晃史 工学研究科博士課程学生(現・理化学研究所特別研究員)、長尾耕治郎 同助教、梅田眞郷 名誉教授らの研究グループは、体長3ミリメートル程度のショウジョウバエの細胞の物理的な特性を解析した結果、ショウジョウバエは、哺乳動物と比較して非常に柔軟で、かつ強い力でも壊れない特別な細胞で出来ていることを発見しました。
次に、その原因を探ったところ、リン脂質スクランブラーゼ「XKR」というタンパク質の作用により、細胞膜を形作る脂質2分子膜の内外で脂質分子が常にとんぼ返り運動をしていることで、細胞膜の柔軟性が保たれていることが明らかとなりました。さらに、細胞膜の柔軟性が失われると体内を循環している血球細胞が滞留することも観察されました。
本研究により、小型昆虫が、微小な体内でも十分に働くことが出来る特別な構造と物性の細胞膜を持ち、さらに厚さ数ナノメートルの薄い細胞膜の中で脂質が動くことにより組織の形成や細胞の機能に重要な細胞の硬さが調節されていることが明らかとなりました。
本研究成果は、2021年6月9日に、国際学術誌「Cell Reports」に掲載されました。
図:本研究のイメージ図
研究者情報
研究者名:塩見晃史
研究者名:長尾耕治郎
研究者名:梅田眞郷