2021-09-10 早稲田大学,科学技術振興機構,理化学研究所
ポイント
- 導電性高分子と金属から成る複合ナノチューブシートを開発
- このシートに電気をかけると物質輸送が3倍以上促進する電気浸透流ポンプ現象を発見
- タンパク質(GFP)を導入効率84パーセント、細胞生存率98.5パーセントで細胞内に導入可能となり、再生医療や細胞治療に役立つ医療機器としての活用が期待できる
早稲田大学 大学院情報生産システム研究科の三宅 丈雄 教授らの研究グループと、理化学研究所 生命機能科学研究センターの木川 隆則 チームリーダーおよび美川 務 専任研究員らの研究グループは、導電性高分子で被覆された金属製ナノチューブシートを開発し、電気をかけることで電気浸透流が発生し、細胞膜を通過する物質の輸送速度を促進させることを発見しました。さらにこの電気浸透流現象を利用することで、安全かつ効率良く細胞内に物質を導入できることを確認しました。本導入技術は、物理的にナノチューブを細胞に挿して利用するため、導入する物質の大きさ・形状・電荷を選ぶ必要がありません。そのため、さまざまな機能性物質を細胞内に導入することで新たな細胞の種を作り、再生医療や細胞治療に応用することが期待されます。
本研究成果は、2021年9月9日(中央ヨーロッパ時間)に科学誌「Small Science」にオンライン版で公開されます。
本研究は、科学研究費補助金、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 さきがけ「電子・イオン制御型バイオイオントロニクス」(JPMJPR20B8)および研究成果展開事業 SCORE 大学推進型「高効率な細胞内物質導入スタンプおよび顕微鏡搭載システムの事業化検証」(JPMJST2053)による成果です。
<論文タイトル>
- “High-Efficient and Dosage-Controllable Intracellular Cargo Delivery through Electrochemical Metal-Organic Hybrid Nanogates”
- DOI:10.1002/smsc.202100069
<お問い合わせ先>
<研究に関すること>
三宅 丈雄(ミヤケ タケオ)
早稲田大学 理工学術院 大学院情報生産システム研究科 教授
美川 務(ミカワ ツトム)
理化学研究所 生命機能科学研究センター 細胞構造生物学研究チーム 専任研究員
<JST事業に関すること>
嶋林 ゆう子(シマバヤシ ユウコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 グリーンイノベーショングループ
森田 浩(モリタ ヒロシ)
科学技術振興機構 産学連携展開部 START事業グループ
<報道担当>
早稲田大学 広報室 広報課
科学技術振興機構 広報課
理化学研究所 広報室 報道担当