タンパク質「14-3-3」を介した新たなRegnase-1の抑制機序
2021-10-19 京都大学
竹内理 医学研究科教授らの研究グループは、炎症を抑えるブレーキとしての働きをもつRegnase-1(レグネース-1)が、感染などによって炎症を起こす刺激下では「14-3-3」というタンパク質によってその働きが抑制され、炎症の増減に寄与していることを見出しました。
Regnase-1はRNA分解酵素として働き、サイトカインなど炎症を起こす分子をコードするmRNAを分解することで炎症反応を抑えています。一方、炎症反応は病原体を排除するにあたって重要な役割を持つため、Regnase-1の働きを弱め、炎症反応に対するブレーキを外す詳しいメカニズムについては、今まで不明な点が残されたままでした。
本研究では、Regnase-1と結合するタンパク質を網羅的に探索することにより、炎症刺激下において14-3-3というタンパク質がRegnase-1と結合し、Regnase-1の働きを抑えていることが明らかとなりました。炎症性疾患と強いかかわりのあるRegnase-1の制御メカニズムの解明は、今後、Regnase-1を疾患治療の標的とする際の鍵となる可能性が考えられます。
本研究成果は、2021年10月12日に、国際学術誌「eLife」に掲載されました。
図:Regnase-1による炎症抑制メカニズム(左)と、炎症刺激を受けた際のRegnase-1の14-3-3による抑制メカニズム(右)
研究者情報
研究者名:竹内理