2022-04-19 東京大学医学部附属病院
国内に約1000万人の患者が存在すると考えられている糖尿病は、未治療のまま放置すると心筋梗塞、脳卒中や慢性腎不全などの合併症のリスクが高まりますが、適切な治療の継続によりそれらの発症が抑えられることが知られています。しかしながら、特定健診などの生活習慣病の健診で糖尿病を指摘され医療機関の受診を勧奨されても、半数以上の患者が受診しないことが分かっており、受診率の向上が求められていました。
この度、東京大学の岡田啓特任助教、山口聡子特任准教授、山内敏正教授、南学正臣教授、康永秀生教授、門脇孝名誉教授(虎の門病院院長)らの研究グループは、機械学習を用いて、健診で糖尿病を指摘された後、未受診となる集団を予測するモデルの構築を試みました。診療報酬請求明細書・健診のデータを含む大規模疫学データベースを用いて、従来の13個の因子で予測するモデルと比較して予測能が高いモデルを、機械学習を用いることにより、4つの因子のみで構築できることを明らかにしました。本研究の成果は、糖尿病の合併症の予防を目的とした政策立案に大きく貢献するエビデンスとなることが期待されます。
本研究は、日本時間2022年 4 月18日に米国科学誌 Diabetes Care オンライン版 Published Ahead of Print に掲載されました。 なお本研究は、厚生労働省および文部科学省科学研究費補助金(厚生労働行政推進調査事業費補助金・政策科学総合研究事業(政策科学推進研究事業)「診療現場の実態に即した医療ビッグデータを利活用できる人材育成促進に資するための研究」(課題番号 21AA2007 研究代表 康永秀生)、文部科学省科学研究費補助金「糖尿病受診中断の予測因子探索と政策提言」(課題番号 20K18957 研究代表 岡田啓)の支援により行われました。
東京大学大学院医学系研究科 糖尿病・生活習慣病予防講座は、朝日生命保険相互会社との社会連携講座です。