2022-02

前がん細胞が正常細胞を駆逐する仕組みを解明 医療・健康

前がん細胞が正常細胞を駆逐する仕組みを解明

ショウジョウバエモデルを用いてスーパーコンペティションのメカニズムを解析しました。前がん細胞はbantamと呼ばれるマイクロRNAの発現上昇を介してTORシグナルを活性化し、これによりタンパク質合成能を高めていることがわかりました。これにより隣接する正常細胞にオートファジーが誘導され、細胞死が起こることがわかりました。正常細胞でオートファジーを阻害すると細胞死が阻害されるだけでなく、前がん細胞の腫瘍化が抑制されたことから、スーパーコンペティションが腫瘍形成に重要な役割を果たしていることがわかりました。
進行性前立腺癌に対する新しい免疫療法の確立~制御性T細胞を制御する~ 医療・健康

進行性前立腺癌に対する新しい免疫療法の確立~制御性T細胞を制御する~

進行性前立腺癌を発症した犬において、制御性T細胞(Treg)が腫瘍組織に浸潤するメカニズムを明らかにし、その阻害剤を用いたTreg浸潤抑制が有効な免疫療法となることを獣医師主導臨床試験により証明しました。ヒトの前立腺癌の一部の患者では犬に類似した遺伝子発現パターンを有しており、犬と同様のメカニズムによってTregの腫瘍内浸潤が引き起こされている可能性を見出しました。進行性前立腺癌に対する新しい治療法を提示するとともに、犬が進行性前立腺癌の有用な自然発症動物モデルであることを初めて実証しました
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染細胞は周囲の非感染細胞に細胞老化を誘導することで炎症反応を持続させる 医療・健康

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染細胞は周囲の非感染細胞に細胞老化を誘導することで炎症反応を持続させる

新型コロナウイルスに感染した細胞が放出するサイトカインによって、周囲の感染していない細胞が細胞老化を起こし、ウイルスが消失した後も長期にわたり老化細胞から炎症性物質が分泌され続けることを見出しました。本研究成果は新型コロナウイルス感染症の病態の理解を深めると同時に、老化細胞の蓄積を抑制することで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症の改善につながる可能性が期待されるものです。
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ナチュラルキラー(NK)細胞による転移がん細胞殺傷の可視化 生物工学一般

ナチュラルキラー(NK)細胞による転移がん細胞殺傷の可視化

高感度発光イメージングと二光子顕微鏡とを駆使して、NK細胞とがん細胞が肺の血管の中で決闘をしている様子を明らかにしました。肺に到着したがん細胞とNK細胞は決闘を繰り返し、24時間以内に99%のがん細胞は排除されます。しかし、生き延びた1%のがん細胞は24時間の間にNK細胞から逃れる手段を確立してしまうことも同時にわかりました。
同期したシステム間の結合を振動時刻データから推定する公式を考案 ~事前データ不要で推定を可能に~ 生物工学一般

同期したシステム間の結合を振動時刻データから推定する公式を考案 ~事前データ不要で推定を可能に~

生物に見られる多様なリズムを生み出す「振動子」の相互作用をコンピューターによる機械学習で推定する、事前データなく、振動子間の相互作用およびノイズの大きさを推定する新理論を開発。
植物の地下での情報のやりとりを発見~地下茎で繋がった植物株間でのコミュニケーション~ 生物化学工学

植物の地下での情報のやりとりを発見~地下茎で繋がった植物株間でのコミュニケーション~

地下茎で繁殖するイネ科植物が、地下茎を介した情報のやりとりにより、不均一な窒素栄養環境に巧みに応答して成長する仕組みを新たに発見しました。栄養繁殖をする野生イネ(オリザ・ロンギスタミナータ)のラメットが、不均一な窒素栄養条件に晒された場合、窒素欠乏側のラメットからの情報を受けて、窒素十分側のラメットで相補的に多くの窒素を吸収・同化し、窒素十分側のラメットの成長を優先させることで、群落として巧みに応答する仕組みを明らかにしました。
数理モデルを用いた肥満における代謝変化と制御の定量的理解 医療・健康

数理モデルを用いた肥満における代謝変化と制御の定量的理解

同位体標識実験を用いずにマルチオミクスデータから代謝変化とその制御を解析する数理モデルOMELETを開発しました。肥満モデルマウスにおける肝臓グルコース代謝変化とその変化を引き起こしている制御を定量的に解析しました。
卵巣がんの新しい治療標的を同定~がん研究に医療ビッグデータとコンピュータ科学を活用~ 医療・健康

卵巣がんの新しい治療標的を同定~がん研究に医療ビッグデータとコンピュータ科学を活用~

医療ビッグデータとコンピュータ科学を活用し、卵巣がんの新しい治療標的として、「LKB1-MARK3経路」を同定しました。卵巣がんのうち最も死亡者数の多い「高異型度漿液性卵巣がん」の新しい治療法の開発につながると期待できます。
移植したヒトiPS由来細胞を刺激することにより、脊髄損傷の治療効果改善に成功 細胞遺伝子工学

移植したヒトiPS由来細胞を刺激することにより、脊髄損傷の治療効果改善に成功

脊髄損傷マウスにヒトiPS細胞由来神経幹/前駆細胞を移植し、DREADDsと呼ばれる人工受容体技術を用いて、移植した細胞を刺激して移植細胞の活動性を繰り返し亢進させることで、脊髄損傷マウスの運動機能を回復させることに成功しました。
脳神経系タンパク質のリン酸化をまるごと理解 医療・健康

脳神経系タンパク質のリン酸化をまるごと理解

脳神経系のタンパク質リン酸化データベースであるKANPHOSを公開しました。データ駆動型研究の基盤となるタンパク質リン酸化の情報を提供するとともに、webツールや関連データベースを用いて、それらタンパク質・シグナルネットワークが関与する生理機能や関連疾患の情報を容易に引き出せる設計になっています。精神神経疾患の病因・病態の解明や治療戦略の創出などにつながることが期待されます。
改良オーキシンデグロンAID2による線虫個体における迅速なタンパク質の分解除去法の開発 生物化学工学

改良オーキシンデグロンAID2による線虫個体における迅速なタンパク質の分解除去法の開発

線虫のタンパク質機能を解析するためには、そのタンパク質機能を欠損させて表現型を調べることが有効です。しかしながら、従来のAID法はオーキシン非添加時における弱い標的分解や、高濃度オーキシン投与による影響などの問題点がありました。去年開発した改良オーキシンデグロンAID2を線虫に応用し、線虫においてもAID2法を用いることでリガンド非特異的分解を完全に抑制し、従来の1/1300のリガンド濃度で迅速に標的タンパク質分解を誘導できることを見出しました。
病気の原因がわからない赤ちゃんに対するゲノム解析の有用性を確認 医療・健康

病気の原因がわからない赤ちゃんに対するゲノム解析の有用性を確認

17の高度周産期医療センターからなるネットワークを作り上げました。従来の検査法では原因を決めることができなかった85名の重症の赤ちゃんに対して、ゲノム解析という新しい方法で原因の究明を試みました。約半数(41名)が生まれつきの遺伝性疾患にかかっていることが判明しました。結果の判明したうちの約半数(20名)では、検査や治療方針の変更が行われ、このゲノム解析が新しい時代の医療技術として極めて有用であることを示しました。
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