生物化学工学 脳は記憶を力で刻む ~シナプスの力と圧感覚による新しい伝達様式の発見~ 長期記憶が形成される際、大脳のシナプスにおいて樹状突起スパインが増大することが知られていたが、このスパインの動きが、筋肉収縮と同程度の力でシナプス前部を押すことにより、伝達物質放出を増強する効果(圧感覚)を持つことを見いだした。シナプスにおける情報伝達様式として、化学伝達と電気伝達の2種類の様式が知られてきた。今回、スパイン増大と圧感覚を介した力学的伝達という新しい第3の様式を発見した。 2021-11-25 生物化学工学
細胞遺伝子工学 細胞外で複製し進化する人工ゲノムDNAを開発 ~自律的に増殖し進化する人工細胞の構築に期待~ 核酸やたんぱく質といった無生物材料のみを用いて、生物の特徴であるDNAからの遺伝子発現と持続的な複製による進化を細胞外で行うことに世界で初めて成功しました。 2021-11-16 細胞遺伝子工学
生物化学工学 胎児の神経を形作る仕組みは精密な温度センサー ~母体の体温維持が神経の成熟に重要であることを示唆~ 精製したたんぱく質は熱に弱く、機能を失いやすいため、体温付近での性質を調べるのが一般に困難。赤外レーザーによる精密加熱技術を用いて体温付近での実験に成功したことで、神経細胞が力を出し、形を変えるときに働くたんぱく質に、温度センシング能力があることを発見。 2021-11-10 生物化学工学
細胞遺伝子工学 組織の細胞集団に潜む幹細胞のエピゲノム解析手法を開発 ~がん組織の精密プロファイリングに成功~ 一辺3ミリ 厚さ10マイクロメートル程度の小さな組織切片に含まれる少数の細胞集団から、高感度かつ高精度なエピゲノム情報を抽出する技術を発表しました。「クロマチン挿入標識(ChIL)法」を基礎として、組織をターゲットとした解析法を開発しました。 2021-11-04 細胞遺伝子工学
医療・健康 SARS-CoV-2ミュー株(B.1.621系統)は ワクチン接種者が保有する中和抗体に対して極めて高い抵抗性を示す 新型コロナウイルスの「注目すべき変異株」の1つである「ミュー株(B.1.621系統)」が、新型コロナウイルスに感染した人、および、ワクチンを接種した人の血清に含まれる中和抗体に対して、極めて高い抵抗性を示すことを明らかにしました。 2021-11-04 医療・健康
医療・健康 肝臓由来の細胞外小胞の抗炎症機能を発見 ~急性肝障害の治療法に新たな道~ ヒト幹細胞由来の細胞外小胞が急性肝障害に対して組織保護的に働くことを発見しました。 2021-10-26 医療・健康
医療・健康 パーキンソン病では前認知症段階で血中リンパ球が低下 ~先制治療・病態解明の鍵~ パーキンソン病では、病気の進行に伴い認知症を合併することがありますが、認知症を発症する患者の特徴はいまだ十分には分かっていません。国際多施設共同観察研究のデータを用いて、APOE4アレルを持つパーキンソン病患者においてのみ、診断時の血中のリンパ球の減少がその後の経時的な認知機能の低下を的確に予測することを発見した。 2021-10-14 医療・健康
有機化学・薬学 HIVは宿主(ヒト)のRNA修飾を悪用して感染・増殖する ~新しい戦略の抗ウイルス薬の開発に期待~ ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)がヒト細胞で感染/複製する際に、ヒトのトランスファーRNA(tRNA)の修飾を利用する2つの仕組みを解明した。1つ目は、HIV-1のゲノム複製時の役割としてヒトのリジンtRNAの58塩基目と54塩基目のメチル化修飾が、HIV-1ゲノム複製に必要な逆転写の適切な位置での停止に重要であること。2つ目は、HIV-1たんぱく質とウイルス粒子の合成においても、tRNA 58塩基目のメチル化機構が重要であることを発見した。 2021-10-13 有機化学・薬学
有機化学・薬学 ダチョウ抗体を担持させた不織布マスクを用いて 口鼻からの新型コロナウイルスの可視化に成功 ダチョウ抗体を担持した口元フィルター入りの不織布マスク(以下「ダチョウ抗体担持マスク」という。)を用いることにより、呼気からのSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)の可視化が、蛍光抗体法で肉眼でも可能であることを見いだした。 2021-10-01 有機化学・薬学
細胞遺伝子工学 マイクロRNAにおける2種類の化学修飾の直接同時検出に成功 1分子量子シークエンサーを用いて、転移性大腸がんなどの難治性消化器がんのマーカーであるマイクロRNAで2種類の化学修飾を直接同時検出することに成功した。 2021-09-30 細胞遺伝子工学
生物化学工学 光合成を人為的に制御できるか 脂肪酸によって光合成活性が変化する仕組みを解明 微細藻類や植物の光合成活性を阻害してしまう物質として、微細藻類自体が産生する脂肪酸に含まれる多価不飽和脂肪酸が知られており、その阻害作用の分子メカニズムを解明した。遊離した多価不飽和脂肪酸が、光合成の場であるチラコイド膜にある主要なリン脂質であるホスファチジルグリセロールに特異的に取り込まれることで、光合成装置を不安定化して失活させることを明らかにした。 2021-09-29 生物化学工学
医療・健康 非接触型センサーを用いた手指動作解析で頚髄症をスクリーニング 頚髄症の悪化に伴って手指の動きが悪くなることに着目し、その特徴を解析した。非接触型センサーを使って手指の動作データを記録して、機械学習により、疾患の有無を推定するプログラムを作成した。計1分程度の簡単な手指の運動をするだけで、専門医による既存の身体診察と同等以上の精度で頚髄症の可能性を検査できる。 2021-09-27 医療・健康