2023-12-28 国立遺伝学研究所
小型魚類遺伝研究室では、ゼブラフィッシュ生殖細胞培養系における知見をもとに、ゼブラフィッシュ精子を長期間室温保存できる培養液の開発に取り組みました。その結果、大気中でpHが安定するL-15培養液に、グルコース、ウシ胎児血清、牛血清アルブミン、乳酸を加えることで、少なくとも4週間ゼブラフィッシュ精子を室温で保存できることがわかりました。また、メダカの精子も少なくとも1週間は保存できることがわかりました。この方法を用いると、精子懸濁液を0.5ml tubeに入れて封筒で輸送することが可能になり、実際に、イスラエルのHebrew University of JerusalemおよびアメリカのUniversity of California, Davisから輸送した精子が受精することを確認しました。変異体等の貴重なリソースを安価に輸送できるため、国際的なリソースの共有に役立つことが期待されます。
図:Zebrafishの表紙に掲載されたゼブラフィッシュとメダカの精子
In vitro storage of functional sperm at room temperature in zebrafish and medaka
Takemoto K, Nishimura T, Kawasaki T, Imai Y, Levy K, Hart N, Olaya I, Burgess SM, Elkouby YM, Tanaka M, Sakai N,
Zebrafish (2023) 20, 229-235 DOI:10.1089/zeb.2023.0054