2019.08.29 愛媛大学
愛媛大学が主導する共同研究チーム(東京都健康長寿医療センター研究所、HITO病院)が、世界保健機関の定義に基づいた難聴が軽度認知障害の有症率の高まりと関連することを示す研究成果を発表し、令和元年 7 月 25 日に学術誌「Ear and Hearing」の電子版に公表されました。
軽度認知障害は認知症の前段階であり、正常の認知機能と認知症の中間段階です。軽度認知障害のリスク要因がわかれば、認知症を予防できるかもしれません。最近、難聴が認知症に影響しているという報告がありますが、難聴と軽度認知障害を調べた研究はほとんどありません。
今回、中高年を対象とした「愛大コーホート研究(※)」の一部のデータを活用し、難聴と軽度認知障害との関連を調べました。その結果、難聴が軽度認知障害の有症率上昇と有意に関連することがわかりました。
今後、更なる疫学研究によるエビデンスの蓄積が必要ですが、難聴を予防することにより、軽度認知障害を予防できる可能性を示す非常に関心の高い研究成果であるといえます。
※愛大コーホート研究
高血圧やがん等の幅広い生活習慣病の予防、診断や治療法を改善することを目的とし、愛媛県在住の中高年の方数万人を目標にデータを収集中。研究参加者を20年間追跡し、疫学研究の手法によるデータ統計解析で、病気のかかりやすさやかかりにくさを、体質、生活習慣、生活環境等の点から解析を行う研究。
掲載誌
Ear and Hearing
題名
Hearing Impairment and Prevalence of Mild Cognitive Impairment
in Japan: Baseline Data From the Aidai Cohort Study in Yawatahama and Uchiko.
難聴と軽度認知障害有症率との関連:愛大コーホート研究(八幡浜、内子)
著者
愛媛大学
三宅 吉博、田中 景子、仙波 英徳、岡田 昌浩、寺岡 正人、山田 啓之、
信原 孝司、松浦 文三、羽藤 直人
東京都健康長寿医療センター研究所
小川 将、鈴木 宏幸、藤原 佳典
HITO病院
高木 大樹
大学院医学系研究科 疫学・予防医学講座 教授 三宅 吉博
プレスリリース資料