植物細胞内の交通事情から探る生命の普遍性と多様性 〜植物の新たな膜交通制御の仕組みを発見〜

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2018-05-15 基礎生物学研究所

地球上の生命は全て「細胞」で構成されており、細胞が行う活動には生物種を通じて共通性がみられます。例えば、細胞は生命活動を支えるタンパク質を作り、作られたタンパク質を細胞内に正しく輸送し配置するという活動を行っています。この活動は動物、菌類、植物などの全ての生物種においてみられます。しかし、全ての細胞が同じタンパク質のセットを持っているわけではなく、タンパク質を必要な場所に輸送する仕組みも生物によって異なっていることが分かってきました。基礎生物学研究所細胞動態部門の上田貴志教授と国際基督教大学の伊藤瑛海特任助教らの研究グループは、理化学研究所光量子工学研究センターの中野明彦副センター長、お茶の水大学の植村知博准教授らと共同で、植物が進化の過程でどのようにして独自の体制やライフスタイルを構築してきたのかを細胞レベルで明らかにするべく、植物を特徴付ける細胞小器官である液胞にタンパク質を輸送する仕組みの研究を行ってきました。その結果、ARA6とPUF2という植物にしか存在しないタンパク質が、動物や菌類にも存在するRAB5(保存型RAB5)というタンパク質のはたらきを抑制したり、促進したりすることで、液胞へのタンパク質の輸送を厳密にコントロールしていることを見いだしました。つまり、植物は独自の制御因子を生み出すことで、他の生物と共通の細胞活動に多様性を持たせることに成功したのです。本研究は基礎生物学研究所の個別共同利用研究として行われ、成果は2018年5月12日付で英国オンライン科学誌eLifeに掲載されました。
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図1:膜交通におけるRAB GTPaseとエフェクターのはたらきの一例
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図2:PUF2が液胞輸送を制御する仕組み
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