2020-09-02 京都大学
池田悠吾 理学研究科博士課程学⽣、本川雅治 総合博物館教授らの研究グループは、韓国、中国、ハンガリーの研究者と共同で、キクガシラコウモリの東アジア集団とヨーロッパ集団の間に、量的・質的に異なる複数の頭骨の違いを発見しました。これにより、東アジア集団はヨーロッパ集団とは別種のニホンキクガシラコウモリであることが、形態学的な観点から初めて示されました。
日本からヨーロッパにまで渡る、他の哺乳類に比べてはるかに広い分布をもつキクガシラコウモリは、各地の洞窟で最も一般的に見られ、コウモリに関する多様な研究の対象動物として用いられています。近年の研究により、日本を含む東アジアの集団とヨーロッパの集団が遺伝的に大きくかけ離れていることが示されましたが、形態的な違いは明らかにされていませんでした。
本研究成果は、各地に分布するコウモリの分布形成の歴史と、それによって生み出された形態がもつ機能や適応を解明する上で重要な知見を提供するものです。
本研究成果は、2020年8月28日に、国際学術誌「Zoologischer Anzeiger」のオンライン版に掲載されました。
図:キクガシラコウモリ(左)とその頭骨(右)