ボノボとチンパンジーのアイ・コンタクトにおけるオキシトシン噴霧投与の効果を確認

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2021-01-08 京都大学

ジェームズ・ブルークス 野生動物研究センター博士課程学生、狩野文浩 同特定准教授、山本真也 高等研究院准教授らの研究グループは、ヒトに最も近縁な2種であるボノボとチンパンジーにオキシトシンを噴霧投与したときに、他者の目を見つめる行動(アイ・コンタクト)に特定の変化が生じることを見出しました。

オキシトシンは哺乳類において養育行動や繁殖行動などに作用するホルモンおよび神経ペプチドです。ヒトの大人や子供、イヌや旧・新世界ザルを対象に行った先行研究によって、これを吸引することで、他者への親和的行動の一つであるアイ・コンタクトの頻度が上昇するなどの行動変化が生じることが知られています。しかし、ボノボやチンパンジーのような、ヒトに近縁な霊長類2種において同様に作用するのか、異なるように作用するのか、その点が明らかではありませんでした。

本研究ではこの点を検討するため、ボノボとチンパンジーを対象に、オキシトシンの噴霧投与実験を行いました。実験では、オキシトシンを噴霧投与する条件と、プラシーボである生理的食塩水を噴霧投与する条件のそれぞれにおいて、投与後に、同種の写真を見せ、それを見る視線をアイ・トラッカーで記録しました。その結果、ボノボは写真の目を見る時間がより長くなり、チンパンジーは逆に、写真の口を見る時間がより長くなる傾向が認められました。つまり、噴霧投与されたオキシトシンは、ボノボとチンパンジーで異なるように作用しました。

本研究の結果は、オキシトシンがボノボにおいては先行研究におけるヒトやイヌ、サルのように、親和的行動の一つであるアイ・コンタクトを上昇させること、一方でチンパンジーにおいては、それとは異なる(逆の)作用をすることを示唆しています。すなわち、オキシトシンの効果には種差が認められるのです。この結論は、オキシトシンが、ヒトを含む大型類人猿の社会性と行動の多様な進化において、重要な役割を果たしている可能性を示唆しています。

本研究成果は、2020年12月21日に、国際学術誌「Psychoneuroendocrinology」のオンライン版に掲載されました。

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図:本研究の概要図

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研究者情報
研究者名:狩野文浩
研究者名:山本真也

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