植物生息微生物由来の水溶性で強力な紫外線A波吸収剤~メチロバミン~

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2019-09-24 農研機構

1.メチロバミンとは?

イネやコムギなどの植物体に生息するメチロバクテリウムという微生物が保有する、紫外線A波(UVA)を吸収する新規の天然化合物です(下図)。この化合物はアミン構造を含む特徴があり、メチロバクテリウムとアミンをあわせて「メチロバミン(Methylobamine)」と命名しました。メチロバミンは、UVAを強力に吸収する性質があり(下図)、天然由来の新たな日焼け止めの原料などに利用されることが期待されます。

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2.メチロバミンのUV吸収能力

メチロバミンは、既存の吸収剤に匹敵するUVA吸収活性を示します。既存のUVA吸収剤で、各種日焼け止めに配合されているアボベンゾンとの吸収活性を比較したところ、UVAの波長域(320-400nm)でのメチロバミンの吸収活性(下図、波長域320-400nmの間のピークの大きさで評価)は、アボベンゾンと同程度であることが分かりました。また、メチロバミンは日光下やUVA照明下に暴露しても分解せずに安定性が高い特徴があります。

metiromamin3.png

3.メチロバミンの利用の可能性

既存のUVA吸収剤の多くは油にとけやすく水にとけにくい性質であることから、日焼け止めの製造法や種類が限らされていました。メチロバミンは、既存のUVA吸収剤にはない天然由来の水にとけやすい性質を持っています。このため、メチロバミンを活用することで、ベタ付きの少ない日焼け止め剤など、これまで開発が難しかった製品等の開発が期待されます。

4.補足説明

紫外線A波(UVA:320-400nm)は、ヒトの肌の真皮層まで到達しシワ・たるみ(光老化)の原因となることが近年広く認知され、その対策が求められています。紫外線吸収剤は、紫外線の光エネルギーを熱エネルギーに変換することで皮膚細胞への浸透を防ぐ効果があり、各種日焼け止め剤などに配合されていますが、既成の吸収剤は人によっては肌荒れの原因となったり、一部の種類はサンゴ礁等の生態系に悪影響を及ぼすことなどが報告されています。特に、UVAをターゲットとした吸収剤は種類が少なく、安全で新たなUVA吸収剤の開発が求められています。

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