ABCA13の異常によるコレステロール輸送障害が統合失調症を引き起こすことを解明

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2021-01-08 京都大学

植田和光 物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)特定教授、木岡紀幸 農学研究科教授、中塔充宏 同博士課程学生の研究グループは、神経細胞でコレステロールを運ぶABCA13の異常が統合失調症を引き起こすことを、細胞を用いた実験とモデルマウスを用いて明らかにしました。

ABCA13は、細胞膜を介して物質輸送を行うABCタンパク質の一種であり、ヒトがもつ48種のABCタンパク質のうちで最も大きい(5,058アミノ酸)ものです。これまで遺伝的多型の研究などから、精神疾患との関連が示唆されていましたが、直接的な関連やその機能に関しては、明らかになっていませんでした。

今回、本研究グループは、マウスのABCA13の遺伝子を単離し、ヒト培養細胞にて働かせ、その機能を解析しました。その結果、精神疾患との関連が示唆される変異を導入したABCA13は、細胞膜から小胞へとコレステロールを輸送する活性を、失ってしまうことが明らかになりました。

さらに、ABCA13遺伝子が働かないように操作したノックアウトマウスを樹立しました。また、マウスの脳の神経細胞におけるABCA13遺伝子の働きを解析し、この遺伝子が働かないと、神経細胞の小胞内にコレステロールが蓄積しないことを明らかにしました。

今後、ABCA13遺伝子の働きをさらに解析することで、統合失調症、うつ病などの精神疾患に対する新しい治療戦略の開発につながることが期待されます。

本研究成果は、2020年12月8日に、国際学術誌「Journal of Biological Chemistry」のオンライン版に掲載されました。

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図:コレステロール輸送タンパク質の一種であるABCA13遺伝子の異常が、統合失調症の一症状につながることを、マウスモデルで示しました。((c)高宮ミンディ/京都大学アイセムス)

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研究者情報
研究者名;植田和光
研究者名:木岡紀幸

書誌情報

【DOI】https://doi.org/10.1074/jbc.RA120.015997

【書誌情報】Mitsuhiro Nakato, Naoko Shiranaga, Maiko Tomioka, Hitomi Watanabe,Junko Kurisu, Mineko Kengaku, Naoko Komura, Hiromune Ando, Yasuhisa
Kimura, Noriyuki Kioka and Kazumitsu Ueda (2020). ABCA13 dysfunction associated with psychiatric disorders causes impaired cholesterol trafficking. Journal of Biological Chemistry.

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