蚊の匂い受容体で呼気診断!?

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蚊の嗅覚受容体を用いたセンサにより 0.5ppb レベルの匂いの検出に成功

2021-01-13 東京大学

東京大学大学院情報理工学系研究科、生産技術研究所の竹内昌治教授、神奈川県立産業技術
総合研究所の山田哲也研究員(研究当時)らを中心とした研究グループは、蚊の触角に存在す
る嗅覚受容体を利用し、呼気中に含まれる代謝物を検出できる匂いセンサを開発しました。
研究グループはこれまで、昆虫嗅覚受容体を人工細胞膜(注 2)上に組み込んだ匂いセンサが、
水溶液に溶解した匂い分子に対して高い感度と分子識別能力をもつことを示してきました。し
かし、匂い分子の多くは水に難溶性であるため、気中に漂う匂いに対して嗅覚受容体本来の優
れた能力を引き出すことができませんでした。そこで本研究では、効率的に匂い分子を水溶液
に分配することのできる微細なスリットを搭載した匂いセンサを作製しました (図 1)。このス
リットを水溶液の真下に配備し、匂い分子を含むガスを導入することで水溶液が撹拌され、水
に難溶性の匂い分子を効率良く水溶液中に届けることが可能になりました(図 2)。これによ
り、呼気に混合した 0.5 ppb の微量のガンマーカー(1-octen-3-ol:オクテノール)を匂いセ
ンサによって検出することに成功しました(図 3)。
今後、複数の嗅覚受容体を人工細胞膜に再構成させたセンサを作ることで、複雑な組成を持
つ匂いの識別が可能になると考えられます。感度や分子識別能力で従来技術を凌ぐ匂いセンサ
が実現できれば、呼気・体臭診断や、環境評価、爆発物検知などへの幅広い応用が期待できま
す。
本成果は、2021 年 1 月 13 日(水)(米国東部時間(EST)午後 2 時)に米国科学振興協会
Science Advances 誌に掲載されました。なお、本研究は、国立研究開発法人 新エネルギー・
産業技術総合開発機構(NEDO)次世代人工知能・ロボット中核技術開発事業、および文部科学省
地域イノベーション・エコシステム形成プログラムなどの支援を受けて行われました。

詳しい資料は≫

生物化学工学
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