1つの細胞が異なるエクソソームを分泌する分子機構の発見 ~新たながん治療薬開発への応用に期待~

ad

2021-03-16 東北大学,科学技術振興機構

ポイント
  • 私達の体を構成する細胞は、細胞外に向け小胞(エクソソーム)を分泌し、周囲の細胞の増殖や分化を制御
  • 単一の細胞が性質の異なるエクソソームを分泌することを発見し、異なるエクソソームの形成を制御する分子機構を解明
  • エクソソームはがん細胞の増殖や浸潤にも関与することから、本発見のがん治療薬への応用も期待

体を構成するほぼ全ての細胞は、エクソソーム(細胞外の小胞)を分泌し、周囲の細胞や組織、器官の恒常性を調節しています。また、エクソソームはがんなどの病態とも密接に関連することから、その生理機能に関する研究が急速に進展しています。その一方で、性質の異なるエクソソームが同一の細胞内で生まれる詳細な分子機構は明らかではありませんでした。

東北大学 大学院生命科学研究科の松井 貴英 助教、福田 光則 教授らの研究グループは、単一の細胞から性質の異なるエクソソームが相反する方向へ分泌されることを発見し、それらを生み出す2つの分子機構を解明しました。本研究は、1つの細胞が2つの異なるエクソソームを形成する分子機構の使い分けを解明した初めての報告です。本研究で解明した形成機構が、がん細胞でも機能することを検証できれば、がん転移に関わるエクソソーム形成を特異的に阻害するなど新しい疾患治療薬の開発へと応用されることが期待されます。

本研究成果は、2021年3月16日(日本時間)付けで、英国の国際科学誌「EMBO Reports」の電子版に掲載されます。

本研究成果は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業CREST「細胞外小胞の形成・分泌とその異質性を生み出す分子機構の解明~人工細胞外小胞への展開(JPMJCR17H4)」(研究代表者:福田 光則 東北大学 大学院生命科学研究科 教授)、日本学術振興会 学術研究助成基金助成金 研究活動スタート支援「エキソソームの多様性を生み出す細胞内小胞輸送経路の解明(19K21174)」(研究代表者:松井 貴英 東北大学 大学院生命科学研究科 助教)、花王芸術・科学財団 花王科学奨励賞などの支援によるものです。

詳しい資料は≫

“ALIX and ceramide differentially control polarized small extracellular vesicle release from epithelial cells”
DOI:10.15252/embr.202051475

<研究に関すること>
松井 貴英(マツイ タカヒデ)
東北大学 大学院生命科学研究科 助教

福田 光則(フクダ ミツノリ)
東北大学 大学院生命科学研究科 教授


保田 睦子(ヤスダ ムツコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 ライフイノベーショングループ

<報道担当>
東北大学 大学院生命科学研究科 広報室
科学技術振興機構 広報課

生物化学工学
ad
ad
Follow
ad
タイトルとURLをコピーしました