心不全は医療に大きな負担をかける(Heart failure places a great strain on healthcare)

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2023-02-14 スウェーデン王国・カロリンスカ研究所(KI)

◆心不全の患者数は世界で6,400万人に上り、高齢化と診断方法の改善により、この数字はさらに増加すると予想されています。
◆心不全患者は併存疾患を抱えていることが多く、医療サービスに大きな負担をかけていることが、Heart 誌に掲載された多国籍研究により報告されました。カロリンスカ研究所を拠点とする研究者らは、この疾患のリスク管理を改善することが急務であると指摘しています。
◆「心不全の発生率が人口の年齢とともに増加することが分かっていることから、心不全患者がどのような状況にあるのか、リスクやコストを含めた現代的で幅広い見方が、あらゆる形のケアプランにとって重要です」と、カロリンスカ研究所医学部門循環器ユニット(ソルナ)のAnna Norhammar助教授は述べています。
◆そこで研究者らは、2018年から2020年にかけて、スウェーデンを含む欧州11カ国にカナダとイスラエルを加えた60万人以上の心不全患者について、デジタル医療記録と国の登録データの双方からデータを収集しました。その結果、人口の1~2%が心不全を患っており、年間平均死亡率が13%と比較的致命的であることがわかりました。また、心不全患者は、これまでの国内調査で示唆されているよりも高い確率で併発していることがわかりました。
◆「心不全患者の半数は虚血性心疾患を、半数は腎不全の兆候を、3分の1は糖尿病を患っていました」とNorhammar教授は言う。「心不全患者の合併症が増加している理由の1つは、現代人は複数の疾患を併発しながら長生きしているからでしょう。このことは、心不全の治療をより複雑にしています。
◆この研究のもう一つの結論は、心不全はコストがかかるということです。ヨーロッパでは、医療費総額の1〜2%が心不全治療に費やされており、この費用は増加すると予想されています」と彼女は続けます。「この医療費は、主に入院を必要とする心不全や腎不全の悪化に関連しており、心臓発作や脳卒中といった従来の心血管疾患にはあまり関連していません。ですから、私たちのデータは、さらなる心不全や腎不全を予防するための介入が必要であることを明らかにしています。”
◆Norhammar教授が明らかにした興味深い発見のひとつは、これまでの研究で示されてきたよりも多くの患者さんが左室機能を保ったまま心不全を発症しているということです。
◆「このような患者さんに対して、新しい治療法の可能性が出てきたことは興味深いことです」と教授は説明します。「糖尿病治療薬が、広範な研究の結果、現在では糖尿病の有無にかかわらず心不全に使用されているのです。これらの新薬は、2020年までエビデンスがなかったため、私たちのコホートでは基本的に使用されませんでした。エビデンスが揃った今、この状況が改善されるかどうか、私たちも大いに期待しているので、興味深いところです。”

<関連情報>

現代の多国籍心不全患者の有病率、転帰、費用について Prevalence, outcomes and costs of a contemporary, multinational population with heart failure

Anna Norhammar,Johan Bodegard,Marc Vanderheyden,Navdeep Tangri,Avraham Karasik,Aldo Pietro Maggioni,Kari Anne Sveen,Tiago Taveira-Gomes,Manuel Botana,Lukas Hunziker,Marcus Thuresson,Amitava Banerjee,Johan Sundström,Andreas Bollmann
Heart  Published February 13, 2023.
DOI:doi: 10.1136/heartjnl-2022-321702

Abstract

Objective Digital healthcare systems could provide insights into the global prevalence of heart failure (HF). We designed the CardioRenal and Metabolic disease (CaReMe) HF study to estimate the prevalence, key clinical adverse outcomes and costs of HF across 11 countries.

Methods Individual level data from a contemporary cohort of 6 29 624 patients with diagnosed HF was obtained from digital healthcare systems in participating countries using a prespecified, common study plan, and summarised using a random effects meta-analysis. A broad definition of HF (any registered HF diagnosis) and a strict definition (history of hospitalisation for HF) were used. Event rates were reported per 100 patient years. Cumulative hospital care costs per patient were calculated for a period of up to 5 years.

Results The prevalence of HF was 2.01% (95% CI 1.65 to 2.36) and 1.05% (0.85 to 1.25) according to the broad and strict definitions, respectively. In patients with HF (broad definition), mean age was 75.2 years (95% CI 74.0 to 76.4), 48.8% (40.9–56.8%) had ischaemic heart disease and 34.5% (29.4–39.6%) had diabetes. In 51 442 patients with a recorded ejection fraction (EF), 39.1% (30.3–47.8%) had a reduced, 18.8% (13.5–24.0%) had a mildly reduced and 42.1% (31.5–52.8%) had a preserved left ventricular EF. In 1 69 518 patients with recorded estimated glomerular filtration rate, 49% had chronic kidney disease (CKD) stages III–V. Event rates were highest for cardiorenal disease (HF or CKD) and all cause mortality (19.3 (95% CI 11.3 to 27.1) and 13.1 (11.1 to 15.1), respectively), and lower for myocardial infarction, stroke and peripheral artery disease. Hospital care costs were highest for cardiorenal diseases.

Conclusions We estimate that 1–2% of the contemporary adult population has HF. These individuals are at significant risk of adverse outcomes and associated costs, predominantly driven by hospitalisations for HF or CKD. There is considerable public health potential in understanding the contemporary burden of HF and the importance of optimising its management.

医療・健康
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