コロナ禍における保育施設の感染対策の実態が明らかに ~マスク着用や集団行動の制限を緩和、約半数が行政職員や医師との連携を希望~

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2023-12-07 国立成育医療研究センター

国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区大蔵、理事長:五十嵐隆)の社会医学研究部 臨床疫学・ヘルスサービス研究室の大久保祐輔室長らの研究グループと、株式会社コドモン(所在地:東京都港区、代表取締役社長:小池義則)は、保育・教育施設向けICTサービス「CoDMON(コドモン)」を導入している全国の保育施設を対象に、新型コロナウイルスパンデミック下の感染対策等の実態調査を行いました。
その結果、2022年度から2023年度にかけて、登園時や施設内での感染対策は緩和され、集団行事も制限なしで実施する施設が増えていることが分かりました。また、今回の新型コロナウイルスパンデミックの経験を踏まえ、将来のパンデミック発生の際に、保健所や地方自治体の職員や医師(園医、小児科専門医、感染症専門医)との連携を希望する施設が多いことが明らかになりました。
本研究の成果は、感染症分野の学術誌「Journal of Infection and Chemotherapy」に原著論文として掲載されました。
※本研究の内容は、すべて著者の意見であり、厚生労働省の見解ではありません。

コロナ禍における保育施設の感染対策の実態が明らかに ~マスク着用や集団行動の制限を緩和、約半数が行政職員や医師との連携を希望~

2023年7月28日から9月4日の期間中に匿名のウェブアンケートで回答を得た549施設を対象に、データ分析を実施しました。

図1. 登園時と施設内での感染対策の実施状況【図1. 登園時と施設内での感染対策の実施状況(2022年度 vs. 2023年度)】

2022年度と2023年度で比較すると、登園時の児童の検温や健康状態の確認は多くの施設で継続されていましたが、家族の体調の確認を実施しなくなった施設が多く見られました(図1左)。施設内での感染対策として、手洗いや手指消毒、共有スペースの消毒は継続して実施されていましたが、マスク着用の義務化は減少傾向にありました(図1右)。

図2. 食事や活動時の感染対策の実施状況【図2. 食事や活動時の感染対策の実施状況(2022年度 vs. 2023年度)】

食事中の感染対策として、黙食や仕切りの設置などは大幅に減少していました(図2左)。また、屋外活動や唱歌時のマスク着用の義務化も減少していることが確認されました(図2右)。

図3. 集団行事の実施状況
【図3. 集団行事の実施状況(2022年度 vs 2023年度)】
*「制限」は家族や兄弟姉妹など参加者の人数制限を意味します。

集団行事の実施状況については、運動会、遠足、保育参観などの集団行事の実施は2023年度に増加し、多くの施設で参加者の人数制限なしに行われるようになりました。

表1:今後より密接に連携したいと考える外部の職種【表1:今後より密接に連携したいと考える外部の職種】

プレスリリースのポイント

  • 国立成育医療研究センターと株式会社コドモンによる共同研究チームが「CoDMON (コドモン)」を導入している全国の保育施設(認可保育園、認定こども園、小規模保育事業など)を対象に匿名のウェブアンケート調査を実施しました。
  • 回答のあった549施設の2022年度と2023年度の比較によると、施設内の感染対策は緩和され、集団行事を制限なく実施する施設が増加していました。
  • 今回のパンデミックでの経験を踏まえ、将来の感染症パンデミックにおいて、密接に連携したいと考える外部職種としては、保健所の職員や医師(園医・嘱託医、小児科専門医、感染症専門医)が多いことがわかりました。
発表論文情報

題名:Infection prevention measures and its determinants in childcare facilities during the COVID-19 pandemic: A nationwide survey (2022-2023)
著者名:大久保祐輔1*, 宇田和宏2, 加来美森3, 三好しのぶ3, 宮入烈4
所属:
1)国立成育医療研究センター 社会医医学研究部 臨床疫学・ヘルスサービス研究室(*責任著者)
2)岡山大学大学院 医歯薬総合研究科 小児医科学
3)国立成育医療研究センター 社会医医学研究部
4)国立大学法人浜松医科大学 小児科学講座
掲載誌:Journal of Infection and Chemotherapy
DOI:10.1016/j.jiac.2023.11.008

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本件に関する取材連絡先
国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室
医療・健康
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