音をからだで感じるユーザインタフェース「Ontenna」 イベント支援サービスを提供開始

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全国ろう学校へ「Ontenna」の体験版を無償で提供

2019-06-11 富士通株式会社

当社は、音をからだで感じるユーザインタフェース「Ontenna(オンテナ)」を活用したイベント支援サービスの提供を2019年7月より開始します。また、ろう学校の教育現場での利活用を目的に、2019年6月11日より、30校のろう学校から一部先行して「Ontenna」の体験版を無償で提供します。

「Ontenna」は、髪の毛や襟元などに身に付け、振動と光によって音の特徴をからだで感じるユーザインタフェースであり、聴覚障がい者・ろう者と協働で開発しました。

なお、「Ontenna」を用いた企業向けビジネスの展開、およびECサイトを通じた個人のお客様への販売については、「Ontenna」の製造を担う富士通エレクトロニクス株式会社(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:荻原 淳二、以下 FEI)が2019年7月より実施予定です。

当社は、本サービスの提供を通じて、ろう者と健聴者が共に楽しむ未来の実現を目指します。

音をからだで感じるユーザインタフェース「Ontenna」 イベント支援サービスを提供開始

「Ontenna」着用イメージ

背景

国内において、「障害者差別解消法」が2016年4月1日に施行されたことを受け、障がいのある人たちの社会参加や自立を可能とする取り組みが、教育現場をはじめとして積極的に進められています。

当社は、ろう者に音を届けることを目的に2015年度より「Ontenna」の研究を開始し、ろう学校の教育現場をはじめ、スポーツ観戦やコンサート、タップダンス鑑賞など様々な環境で「Ontenna」を活用した実証を重ね、研究開発に取り組んできました。

「Ontennaイベント支援サービス」の概要

当社は、約60~90dBの音源の鳴動パターンを256段階の振動と光の強さに変換することができる「Ontenna」を活用した、スポーツ・文化団体などに向けたイベント支援サービスを提供します。本サービスでは、「Ontenna」利用の他、システム環境構築からイベント当日の運用までを一貫して提供するため、イベント運営者は容易にサービスを活用することができます。

また、スポーツの競技音やイベントの効果音など、特定の音をよりダイナミックな振動や光で演出することで、イベントに来場された多くの観客に高揚感を与えるとともに、イベントの体験価値を高めることが可能になります。加えて、「Ontenna」は言語に依存しないため、障がいや国籍を問わず新しい観戦スタイルを提供することができ、「Ontenna」活用による共生社会の実現に向けた一つの啓蒙モデルになると考えています。

販売価格、および提供開始時期

製品名 標準価格(税別) 受付開始日 提供開始日
「Ontennaイベント支援サービス」 「Ontenna」30台で日額20万円から

(システム環境構築費およびイベント当日

の運用費を含む)

6月11日 7月1日

※イベント会場の環境によっては個別見積もりとなります。

販売目標

スポーツ・文化団体や自治体などに、2021年までに1,000イベントへのサービス提供を目指す。(当社の決算期は3月末です。)

全国ろう学校へ「Ontenna」体験版の無償提供について

ろう学校の生徒は、耳が聞こえないために音の特徴を知覚することや、自身でリズムを感じることが困難な場面が数多くあります。例えば、発話練習の際、自身の声の大きさが分からないために声の強弱を練習することが難しく、また、音楽の授業で太鼓を叩く際、音を感じることができないため本来のリズム通りに叩くことができず、先生が背中をタッチするなど触覚のサポートが必要です。加えて複数の生徒に対してサポートが必要なため、ろう学校の先生には大きな負担となっています。

このような、ろう学校の教育現場における課題解決や有効性の検証のため、当社は6月11日より一部のろう学校から順次、「Ontenna」の体験版を無償で提供します。「Ontenna」があることで、ろう学校の生徒が音のリズムや強弱といった、音に対する興味の幅を広げることが期待できるとともに、先生の授業の負担を減らすことで、すべての生徒への平等な教育機会を与えることが可能になります。

提供内容 「Ontenna」10台 + コントローラー1台 + 充電スタンド11台
提供条件 以下の「Ontenna」活用プログラムへの協力が必要。

・授業や部活動での積極的な活用

・学校ごとの取り組みや使い方を「Ontenna」活用レシピとして公開

・検証やアンケートへの回答

先行配布 全国聾学校長会(注1、以下 校長会)の校長会理事・評議員の30校に先行で配布。

その他の学校についても校長会と連携し、継続した「Ontenna」の普及と活用を目指す。

ろう学校での「Ontenna」活用シーン

ろう学校での「Ontenna」活用シーン

「Ontenna」について

  1. 概要

    「Ontenna」は髪の毛や耳たぶ、襟元や袖口などに身に付け、振動と光によって音の特徴をからだで感じることができる新しいユーザインタフェースです。「Ontenna」を身に着けたろう者は、自身の声や周囲の音の大きさを知覚することができるため、発話・発音や太鼓・リコーダーなどの音の強弱の練習をすることが可能です。

  2. 特徴
    • 約60~90dBの音を256段階の振動と光の強さに変換して伝達。リアルタイムに音源の鳴動パターンを伝達することで、音のリズムやパターン、大きさを知覚することが可能。
    • ヘアピンのように髪の毛に装着できるほか、補聴器や人工内耳を使用しているユーザも服や襟元などに取り付けて使用可能。
    • マグネット式充電で容易に充電でき、利用者の負担が軽減。
    • 音の取得範囲を拡張する音ズーム機能により、環境によって使い分けが可能。
      • 人が集まる場所などで使う場合:大きな音のみに反応(約80~90dB)
      • 教室など静かな場所で使う場合:通常の会話にも反応(約60~90dB)
    • 複数の「Ontenna」を同時に制御できるコントローラーを活用したスマートモードを搭載。
      • コントローラー自体が感知した音のリズムやパターンをリアルタイムに複数の「Ontenna」に伝達
      • コントローラーのボタンを押すと複数台の「Ontenna」が同時に振動

「Ontenna」

「Ontenna」

「Ontenna」コントローラー

「Ontenna」コントローラー

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

添付資料

以上

注釈

注1 全国聾学校長会:
東京都に本部を置く聾学校の校長や、教育機関の代表者などによる団体。聾唖教育に関する調査研究、振興を目的とする。
教育
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