体外で製作されるヒト脳組織について、正確な情報発信の必要性を指摘

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2023-03-30 京都大学

ヒト脳オルガノイドは、ヒト多能性幹細胞から作られる脳に模した三次元の組織の総称です。現時点では、脳オルガノイドは脳の発生初期や脳の特定の部位を模した不完全な組織ですが、将来的には脳の発生過程や脳に関連する疾患の解明・創薬への応用が期待されています。
広島大学大学院総合人間社会科学研究科の片岡 雅知 研究員、 澤井 努 准教授(京都大学高等研究院ヒト生物学高等研究拠点(WPI-ASHBi)連携研究者)らのグループは、近年急速に発展するヒト脳オルガノイド研究に関して、「ヒト脳オルガノイドが意識を持つ可能性」と「ヒト脳オルガノイドの医療応用」という関心の高いトピックに着目して、その情報発信の在り方を批判的に検討しました。その結果、情報発信は誇張される傾向があり、それがさまざまな社会的課題をもたらしうる可能性を見出しました。
ヒト脳オルガノイド研究には、人間の脳の理解や様々な医療応用が期待されている一方で、様々な倫理的課題も指摘されています。こうした期待と懸念が表裏一体となっているヒト脳オルガノイド研究をいかに進めていくべきかについては、今後さらなる社会的議論が必要です。研究グループは、そうした議論を建設的なものにしていくために、科学者、倫理学者、メディアに対して、より丁寧な情報発信を求めています。

詳しい資料は≫

論文書誌情報

雑誌名
Trends in Biotechnology

タイトル
The importance of accurate representation of human brain organoid research

著者
Masanori Kataoka, Christopher Gyngell, Julian Savulescu, Tsutomu Sawai

DOI
10.1016/j.tibtech.2023.02.010

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生物工学一般
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