2023-04-11 京都大学
福地順 理学研究科博士課程学生、角井敬知 北海道大学講師、太田瑞希 東京大学特任研究員の研究グループは、千島海溝の超深海域からDiexanthema属の寄生性甲殻類の新種を発見しました。
地球最後のフロンティアとも呼ばれる深海域、特に水深6,500mより深い超深海域は、世界的にも調査可能な研究船・潜水艇等が限られることから、未だ多くの発見が残されている海域です。
今回、2022年に実施された学術研究船「白鳳丸(はくほうまる)」による超深海域における生物調査の過程で、千島海溝の水深7,184–7,186mから採集した深海性ワラジムシ類の脚や体に、丸い実のようなものがぶら下がっているのを発見しました。詳細な観察の結果、それは動物で、これまで北大西洋の水深3,550m以浅からしか報告のなかったDiexanthema属というカイアシ綱甲殻類(ケンミジンコなどが含まれる動物群)の寄生性種であること、さらに名前のついていない種(未記載種)であることが明らかになったため、新種Diexanthema hakuhomaruae(ディエクサンセーマ ハクホマルアエ)として報告しました。
日本は世界の超深海域の大部分が存在する西太平洋辺縁部に位置し、排他的経済水域内の超深海域が世界で最も広い国の一つです。このことから日本の生物多様性理解・生態系保全には、超深海域に住む生物の理解が欠かせません。今後も超深海域に住む生物の継続的な調査研究が強く望まれます。
本研究成果は、2023年4月4日に、国際学術誌「Acta Parasitologica誌」に掲載されました。
Diexanthema hakuhomaruaeのメス(左)と様々なカイアシ綱甲殻類(右)
詳しい研究内容について