多様な骨髄腫細胞に対応する新規二重特異性抗体を開発~難治性腫瘍に対する新しいがん免疫療法としての応用に期待~

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2023-10-20 愛媛大学

愛媛大学大学院医学系研究科血液・免疫・感染症内科学講座の小西達矢大学院生、越智俊元講師、竹中克斗教授らの研究グループが、がん免疫療法における革新的なモダリティとなり得る新規二重特異性抗体(Bridging-Bispecific T-cell Engager: B-BiTE)を開発しました。

造血器腫瘍の一つである多発性骨髄腫は、難治性の疾患です。その理由として、多様な骨髄腫細胞サブクローンが存在するため、治療を繰り返していくと薬剤の効果が弱まっていく可能性が示されています。モノクローナル抗体や二重特異性抗体などのがん免疫療法は有望な治療法として期待されていますが、体内の複数の免疫細胞を安全に活性化して治療効果を高めたり、骨髄腫細胞の多様性に柔軟に対応したりする方法はこれまでにありませんでした。本研究で開発されたB-BiTEは、モノクローナル抗体とT細胞とに結合できる新たな二重特異性抗体です。研究グループは、B-BiTEを骨髄腫診療で使われているモノクローナル抗体に結合させ抗体/B-BiTE複合体として使用することによって、モノクローナル抗体の持つNK細胞活性に加えて、二重特異性抗体の持つT細胞活性を同時にかつ安全に誘導できる新たな二重特異性抗体を作製することに成功しました。さらに、B-BiTEに結合させるモノクローナル抗体を替えることによって、異なる標的抗原に対する複数の二重特異性抗体を素早く作り出して使用することが可能となり、不均一な骨髄腫細胞に対しても強力で持続的な治療効果を提供できる可能性を示しました。

B-BiTEはがん免疫療法の新しいモダリティとして、今後骨髄腫を含めた難治性腫瘍に対する新たな治療戦略の進展に貢献できるのではと期待されます。本研究成果は、米国血液学会誌「Blood」の電子版First Editionに公開されました(令和5年9月22日(日本時間))。

論文情報

掲載誌: Blood
DOI: 10.1182/blood.2022019082
題名: Reinforced anti-myeloma therapy via dual-lymphoid activation mediated by a panel of antibodies armed with Bridging-BiTE
著者: Tatsuya Konishi, Toshiki Ochi, Masaki Maruta, Kazushi Tanimoto, Yukihiro Miyazaki, Chika Iwamoto, Takashi Saitou, Takeshi Imamura, Masaki Yasukawa, Katsuto Takenaka
責任著者: 越智 俊元, 竹中 克斗

プレスリリース資料はこちら(PDFファイル 860KB)

本件に関する問い合わせ先

愛媛大学大学院医学系研究科
血液・免疫・感染症内科学講座
講師  越智 俊元

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