2026-10-20 九州大学
九州大学大学院医学研究院などの研究チームは、ステロイド薬の長期使用によって副腎が萎縮し、副腎不全が生じる仕組みをマウス実験で明らかにした。ステロイド薬の一つであるデキサメタゾンを投与すると、下垂体から分泌される副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が減少し、副腎皮質細胞の抗酸化機能が低下する。その結果、細胞内のミトコンドリアに活性酸素種(ROS)が蓄積して障害が起こり、細胞死と副腎の萎縮につながることが分かった。さらに、ACTHの下流で働く転写因子SF1が、抗酸化応答を担うNRF2の働きを調節する分子経路を明らかにした。マウスにACTHまたは抗酸化物質N-アセチルシステイン(NAC)を投与すると、活性酸素の蓄積、ミトコンドリア障害、細胞死や副腎萎縮が軽減した。これらの成果は、ステロイド治療に伴う副腎不全の発症機構を理解するうえで重要であり、副腎障害を予防する新たな治療法の開発につながる可能性がある。ただし、予防効果が確認されたのはマウスであり、人での有効性や安全性は今後の検証が必要である。
<関連情報>
ミトコンドリア由来の活性酸素種(ROS)の蓄積を介したグルココルチコイド誘発性副腎皮質細胞死におけるACTH-SF1/NR5A1-NRF2軸の役割
Role of the ACTH-SF1/NR5A1-NRF2 axis in glucocorticoid-induced adrenocortical cell death through mitochondrial ROS accumulation
Naohiro Uchida, Namiko Kawamura, Hironobu Umakoshi, Maki Yokomoto-Umakoshi, Tazuru Fukumoto, Norifusa Iwahashi, Masamichi Fujita, Aya Fujimoto, Kaede Saito, Yuta Hiraike, Fumiya Takahashi, Takashi Baba, Masahide Seki, Yutaka Suzuki, and Yoshihiro Ogawa
Cell Death & Disease

