細胞外空間を制御するシグナルを開始する分子機構の構造的基盤

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2020-01-22 国立遺伝学研究所

Molecular mechanism for the recognition of sequence-divergent CIF peptides by the plant receptor kinases GSO1/SGN3 and GSO2

Satohiro Okuda*, Satoshi Fujita*, Andrea Moretti, Ulrich Hohmann, Verónica G. Doblas, Yan Ma, Alexandre Pfister, Benjamin Brandt, Niko Geldner, Michael Hothorn
*These authors are equally contributed to this work

Proceedings of the National Academy of Sciences PNAS first published January 21, 2020 DOI:10.1073/pnas.1911553117

Also available at BioRxiv doi

植物の根はその体を支えるだけでなく、土壌から無機栄養を吸収するために重要な器官である。根で吸収された無機栄養は維管束に濃縮されるが、濃縮された無機栄養物が自由拡散によってふたたび土の中に流出しないように、植物は維管束の外側にある内皮細胞層の細胞壁にカスパリー線と呼ばれる疎水性の障壁を形成する。

本論文ではカスパリー線の形成過程を理解するため、その形成に必要なシグナル伝達の開始点であるGSO1(SGN3)細胞膜受容体の細胞外ドメインとそのリガンドであるCIFペプチドが結合した複合体の立体構造を決定した。その結晶構造から、CIFペプチドとGSO1(SGN3)受容体複合体形成に重要なアミノ酸を同定し、さらに新たに同定した共受容体(SERKタンパク質)と三者複合体を形成するのに必須のアミノ酸も加えて同定した。

さらにCIF3/4を同定した。CIF3/4はCIF1/2同様に生理活性をもち、GSO1(SGN3)受容体とそのホモログであるGSO2とに結合することが明らかとなった。しかしながら、その結合の程度には組み合わせによって明確な差が見られ、発現部位も異なることからそれぞれのCIFペプチドと受容体の組み合わせが異なる発生イベントの制御に関わっていると推測された。本研究は、カスパリー線形成過程の分子機構の理解に寄与しただけではなく、配列が異なるペプチドがどのようにして同じ受容体に作用するかを示したものといえる。

本研究は、奥田哲弘 博士(ジュネーブ大学博士研究員)、藤田智史 博士(当時ローザンヌ大博士研究員、現遺伝研博士研究員)を中心として、ジュネーブ大Prof. Michael Horthonとローザンヌ大Prof. Niko Geldnerのグループで行われた。

本研究はSNFグラント (no. 31003A_176237 and 31CP30_180213 (M.H.), 31003A_156261 and 310030E_176090 (N.G.))、ERCグラント (616228-ENDOFUN, N.G.)、HHMIグラントおよびHFSP fellowship (no. LT000567/2016-L, S.O.), 日本学術振興会海外特別研究員制度(S.F.)の援助により行われた。

図:(A) 植物の根にみられるカスパリー線(ピンク)。完全につながると(三段目)細胞外での自由拡散に対するバリアとして機能する (図は内田博子氏による http://uchidahiroko.com/)
(B) GSO1(SGN3)/CIF2複合体の結晶構造

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