傷ついたリソソームを修復する新たなメカニズムを発見

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リソソーム損傷を伴う結晶性腎症などへの新規治療法開発に期待

2020-09-29 大阪大学,科学技術振興機構

ポイント

  • 細胞内外からさまざまな物質を取り込んで細胞内消化するリソソームは、シュウ酸カルシウムなどのさまざまな刺激性微粒子により傷つくことが知られており、これを修復する新たなメカニズムを発見。
  • 傷ついたリソソームの修復には、オートファジーやリソソーム生合成を制御する転写因子TFEB(transcription factor EB)が活性化することが必須であることを明らかにした。
  • 結晶性腎症を始め、リソソーム損傷を伴う病気の治療法への応用が期待される。

大阪大学 大学院医学系研究科/生命機能研究科/高等共創研究院 中村 修平 准教授、医学系研究科 南 聡 特任助教(常勤)、生命機能研究科の大学院生 重山 紗紀さん(当時:博士前期課程)、医学系研究科/生命機能研究科の吉森 保 教授(遺伝学/細胞内膜動態研究室)らの研究グループは、リソソームに傷がついた際にこれを修復する全く新しいメカニズムを明らかにしました。

リソソームは細胞内外から取り込まれたさまざまな物質の分解を行う細胞内小器官です。シュウ酸カルシウムなどのさまざまな刺激性微粒子は細胞内に取り込まれた後、リソソームを傷つけることが知られています。リソソームが損傷を受けると、酸性の内容物が細胞質へ出てしまい、細胞にとって有害となります。これまでに、研究グループは細胞内分解システムとして知られるオートファジーが傷ついたリソソームを選択的に隔離、修復すること(リソファジー)を見いだしています。

今回、研究グループは、リソファジーに加えて、オートファジーやリソソーム生合成を制御するTFEBの働きによっても傷ついたリソソームが修復されることを見いだしました。さらに、マウスやヒト検体を用いた解析から、この新しいメカニズムは、シュウ酸カルシウム結晶などが腎臓の尿細管に蓄積し、リソソームの障害を伴って発症することが知られている結晶性腎症の病態悪化を防ぐ重要な防御機構であることが分かりました。今回の発見は、結晶性腎症をはじめ、リソソームに傷がつくことで悪化する病気の治療への応用が期待されます。

本研究成果は、2020年9月28日(英国時間)に、国際科学誌「Nature Cell Biology」に公開されます。

本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 CREST研究領域「細胞外微粒子に起因する生命現象の解明とその制御に向けた基盤技術の創出」における研究課題「オートファジーによる細胞外微粒子応答と形成」(研究代表者:吉森 保)「JPMJCR17H6」、JSPS 若手研究A リソソーム損傷時のオートファジー因子によるTFEB新規制御機構とその生理学的意義研究(研究代表者:中村 修平)「17H05064」の一環として行われました。

詳しい資料は≫

<論文タイトル>

“LC3 lipidation is essential for TFEB activation during the lysosomal damage response upon kidney injury”
DOI:10.1038/s41556-020-00583-9

<お問い合わせ先>

<研究に関すること>

吉森 保(ヨシモリ タモツ)
大阪大学 大学院医学系研究科 遺伝学 教授

中村 修平(ナカムラ シュウヘイ)
大阪大学 大学院医学系研究科 遺伝学・高等共創研究院 准教授

<JST事業に関すること>

保田 睦子(ヤスダ ムツコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 ライフイノベーショングループ

<報道担当>

大阪大学 大学院医学系研究科 広報室

科学技術振興機構 広報課

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