外傷性変形性関節症の治療薬として臨床応用へ
2020-12-17 京都大学
西谷江平 医学研究科特定助教、松田秀一 同教授、池田華子 同特定准教授、垣塚彰 生命科学研究科教授らの研究グループは、ラット外傷後変形性膝関節症モデルを用いて、本学で開発された薬剤であるKUS121(Kyoto University Substance 121)の投与実験を行ったところ、関節軟骨の細胞死を防ぎ、関節軟骨の損傷の抑制と滑膜炎の抑制をもたらすことにより、変形性膝関節症を抑制する効果があることを解明しました。
また、軟骨細胞において細胞内ATP濃度の維持により細胞死を抑制していることや、小胞体ストレスを抑制することにより軟骨からの炎症性サイトカインやタンパク分解酵素の産生を抑制することがわかりました。
変形性膝関節症は、関節の痛みで活動が制限される疾患です。進行はゆっくりですが、進行を止める有効な治療法はありません。外傷後変形性関節症は、怪我により軟骨が傷んで、変形性膝関節症に進行します。外傷というきっかけがあり進行も早いため、受傷後早期に治療を始めれば進行を止められる可能性があります。
今後、本研究グループはKUS121を外傷性変形性関節症治療薬として、臨床応用へ向けた開発を行う予定です。
本研究成果は、2020年11月27日に、国際学術誌「Scientific Reports」に掲載されました。
図:本研究の概要図
研究者情報
研究者名:西谷江平
研究者名:松田秀一
研究者名:池田華子
研究者名:垣塚彰