肺や浮袋が膨らむ仕組みの解明 ~オートファジーの新たな役割を発見~

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2020-12-09 東京大学,科学技術振興機構

ポイント
  • 哺乳類の肺胞や魚の浮袋が膨らむために必要なサーファクタント(表面活性物質)の生成に細胞内分解系であるオートファジーが重要であることを明らかにしました。
  • サーファクタントを生成・貯蓄するラメラ体の成熟にオートファジーが必要であることが分かりました。
  • オートファジーを起こせなくした場合、マウスは出生直後に呼吸困難となり、ゼブラフィッシュは水中で浮いた姿勢を保てず、いずれも致死となることを見いだしました。

哺乳類の肺や魚類の浮袋は、それぞれ呼吸や水中での浮力発生に必須な空気を含む臓器です。これらの臓器を空気で膨らませるためには、肺胞や浮袋の内側を覆っている水の表面張力を弱めることが重要です。この役割を担うのが、サーファクタント(表面活性物質)という脂質に富む物質で、空気との境界の水面に広がって水の表面張力を弱めます。このサーファクタントは肺胞や浮袋の上皮細胞の内部に存在するラメラ体と呼ばれるリソソーム関連の細胞小器官で生成・貯蓄された後に分泌されますが、ラメラ体が形成される仕組みについては十分に解明されていません。

今回、東京大学 大学院医学系研究科の森下 英晃 助教(現:同 客員研究員、順天堂大学 大学院医学研究科 講師)、水島 昇 教授らの研究グループは、同研究科の村上 誠 教授、饗場 篤 教授、シンシナティ大学のJun-Lin Guan 教授らと共同で、細胞内分解系であるオートファジーが肺や浮袋のサーファクタントの生成に必要であることを、マウスやゼブラフィッシュを用いた解析により明らかにしました。肺や浮袋の上皮細胞ではオートファゴソームと未成熟なラメラ体の融合が起きており、オートファジーを抑制すると、ラメラ体への成熟が不十分となることが分かりました。このようなマウスは出生直後に呼吸困難となり、ゼブラフィッシュは水中で浮いた姿勢を保てず、いずれの場合も致死となることが明らかになりました。サーファクタント生成メカニズムを明らかにすることは、サーファクタントの不足や異常によって引き起こされる新生児呼吸窮迫症候群などの呼吸器疾患の理解につながることが期待されます。

本研究成果は、2020年12月8日(米国東部時間)に国際科学誌「Cell Reports」のオンライン版で公開されます。

本研究は科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 総括実施型研究(ERATO)「水島細胞内分解ダイナミクスプロジェクト」(研究総括:水島 昇)、日本学術振興会 新学術領域研究「オートファジーの集学的研究」(領域代表:水島 昇)の計画研究「オートファジーの生理・病態生理学的意義とその分子基盤」、若手研究「ゼブラフィッシュを用いたオートファジー関連因子群の生理機能の解明」(研究代表:森下 英晃)、日本医療研究開発機構(AMED) 革新的先端研究開発支援事業(AMED-CREST)「PLA2 メタボロームによる疾患脂質代謝マップの創成とその医療展開に向けての基盤構築」(研究開発代表者:村上 誠)、革新的先端研究開発支援事業ステップタイプ(FORCE)の支援を受けて行われました。

詳しい資料は≫

<論文タイトル>
“Autophagy is required for maturation of surfactant-containing lamellar bodies in the lung and swim bladder”
<お問い合わせ先>

<研究に関すること>
水島 昇(ミズシマ ノボル)
東京大学 大学院医学系研究科 分子細胞生物学専攻 分子生物学分野 教授

<JST事業に関すること>
内田 信裕(ウチダ ノブヒロ)
科学技術振興機構 研究プロジェクト推進部

<報道担当>
東京大学 大学院医学系研究科 総務係
科学技術振興機構 広報課

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