植物で受精卵を活性化する機構の進化的起源を解明~雌雄の因子が出会って成長をスタートさせる~

ad

2021-09-29 京都大学

河内孝之 生命科学研究科教授と中島敬二 奈良先端科学技術大学院大学教授の研究グループは、オーストリアのグレゴール・メンデル研究所と共同で、植物において受精卵の発生を開始させる機構の進化的起源を解明しました。コケ植物苔類のゼニゴケでは、卵細胞にあるKNOXという転写因子(遺伝子の発現を調節するタンパク質)が、精子由来のBELLという転写因子に助けられて核に移行し、受精卵の分裂を引き起こすことを突き止めたものです。

今回明らかとなったゼニゴケのKNOXとBELL転写因子の働きは、種子植物で知られていたKNOXとBELL転写因子の働きとは大きく異なっている一方で、進化上の分岐が古い緑藻類のKNOXとBELL転写因子の働きに酷似していました。このことから、受精卵の発生開始こそがKNOXとBELL転写因子の祖先的な機能であることが明らかとなりました。この成果は、植物における有性生殖の制御機構とその進化を理解する上で重要な意義を持つものであり、また植物の効率的な育種や繁殖技術の開発の基盤となる研究成果です。

本研究成果は、2021年9月28日に、国際学術誌「eLife」のオンライン版に掲載されました。


図:本研究の概要図

詳しい研究内容≫

研究者情報
研究者名:河内孝之

ad

生物化学工学
ad
ad
Follow
ad
タイトルとURLをコピーしました