診断困難な悪性リンパ腫病型における遺伝子異常を末梢血を用いて高感度に検出

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2020-12-25 京都大学

小川誠司 医学研究科教授、吉田健一 同助教(研究当時、現・Wellcome Sanger Institute博士研究員)、冨田章裕 藤田医科大学教授、島田和之 名古屋大学講師、清井仁 同教授らの研究グループは、血管内大細胞型B細胞リンパ腫(IVLBCL)患者の血液中に存在するリンパ腫細胞由来のゲノムに着目して、同病型の詳細な遺伝子解析を行い、疾患を特徴付ける遺伝子異常を高感度に検出、同定することに成功しました。

悪性リンパ腫は血液がんの中で最も高頻度に生じる病気で、多彩な病型を持つことが知られています。IVLBCLは、まれな悪性リンパ腫の一病型で、一般的な悪性リンパ腫とは異なり、リンパ節の腫れ(腫瘤)を形成せず、リンパ腫細胞が全身の細い血管の中で増えることを特徴としています。悪性リンパ腫の診断は、通常、腫瘤を手術で採取する「組織生検」により行われます。しかし、IVLBCLでは、腫瘤が形成されないため、発熱や全身のだるさなどの症状から病気を疑った場合に、ランダムに皮膚や骨髄から組織を採取し、組織の中の血管内に少数のリンパ腫細胞を見つけることにより診断がつけられていました。また、採取した組織の中から十分なリンパ腫細胞を得られないことが、病気の原因を調べる研究の妨げとなっていました。

本研究では、IVLBCL患者の血漿(血液の中の白血球、赤血球、血小板を含まない液体成分)中に、リンパ腫細胞から流出したゲノム(末梢血無細胞遊離DNA: cfDNA)が、健康な方および一般的な悪性リンパ腫の患者よりも高濃度で存在することを確認し、cfDNAを用いて詳細なゲノム解析(網羅的遺伝子解析)を行いました。検討された18名のIVLBCL患者から得られた血漿全てにおいて、cfDNAを用いた網羅的遺伝子解析が可能でした。また、IVLBCLの大部分のリンパ腫細胞で認められる遺伝子異常が明らかとなったほか、IVLBCLにおいて、がん細胞が免疫細胞からの攻撃を逃れる(免疫回避)ために重要とされる遺伝子異常を高頻度に認めることが明らかとなりました。患者の血液を用いて腫瘍の存在を検出する方法を「リキッドバイオプシー(液体生検)」と呼びますが、IVLBCL患者の病気の診断および病気の原因を調べる研究のために、「リキッドバイオプシー」が特に有用であることが示されました。本研究の成果により、「リキッドバイオプシー」が、IVLBCLの診断を補助する手段として、今後の診療で応用されることが期待されます。また、IVLBCLにおける遺伝子異常の詳細が明らかとなったことで、新たな治療方法の開発に繋がることが期待されます。

本研究成果は、2020年12月24日に、国際学術誌「Blood」のオンライン版に掲載されました。

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図:本研究の概要図

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研究者情報
研究者名:小川誠司

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