健康寿命延伸に向けて東北メディカル・メガバンク計画のビッグデータを活用した共同研究を開始

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2021-02-17 株式会社KDDI総合研究所,岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構,日本医療研究開発機構

株式会社KDDI総合研究所(本社:埼玉県ふじみ野市、代表取締役所長:中村元、以下KDDI総合研究所)と、学校法人岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構(機構長:佐々木真理、以下IMM)は、健康寿命の延伸を目的にビッグデータを活用した共同研究を開始しました。

本共同研究において、日本医療研究開発機構(AMED)の推進する研究開発補助事業である「東北メディカル・メガバンク計画(注1)」によるゲノムコホート(注2)で構築された次世代バイオバンクから得られる遺伝子の状態等の生体情報と、ウェアラブル端末等を用いた客観的な行動習慣に関するデータにAIを組み合わせた解析を行います。また、生活習慣によって変化する遺伝子の状態(エピゲノム(注3))から健康の度合いを表す指標(生物学的年齢)を確立し、どのような行動が健康に影響しているかを明らかにすることで、健康寿命延伸および生活習慣病予防のための個人に最適な行動変容プログラムの確立を目指します(図1)。


図1 研究の全体イメージ

背景

近年、日本においては人生100年時代を迎えつつあり、生活習慣病をはじめとした疾病予防の強化や一人ひとりの状況に応じた健康づくりを通じた健康寿命の延伸が求められています。しかし、生活習慣に関わる行動は無数にあるため、一人ひとりにとって何が疾病リスクとなっているか把握することは困難です。一方で、遺伝子解析の技術革新により、先天的に決まるDNAの遺伝情報だけでなく、エピゲノムと呼ばれる、後天的に遺伝子のはたらきのオン・オフを決める仕組みまで調べることができるようになり、一部のエピゲノムは生活習慣によって変化することがわかってきました。生活習慣によって影響を受けるエピゲノムを調べることで、生活習慣改善のために必要な行動の解明につなげられると考えられます。

共同研究内容

生活習慣病などの加齢に伴う慢性疾患は、生来の遺伝的素因に加えて、長年の生活習慣を含む環境要因によって、細胞組織や臓器の機能異常・低下を引き起こすことで発症すると考えられています。エピゲノムは遺伝子の働きを制御しており、DNAメチル化などエピゲノム状態の変化は生活習慣病の要因の1つであると知られています。本共同研究では、東北メディカル・メガバンク計画で収集した参加者のエピゲノム情報を基に、健康度の指標として生物学的年齢の推定法の作成と、生活習慣のエピゲノムへ与える影響を解析します(図1)。将来的には、新規に参加者を募りスマートフォンや身体に装着して情報を取得するウェアラブル端末から日々の健康関連情報を収集し、エピゲノム情報と合わせてAIで解析し、どのような生活習慣行動がエピゲノムに影響を与えているかを調べ、現在の生活習慣をどの程度改善すればよいかといった、個別的な行動変容プログラムの確立を目指します(図2)。


図2 生物学的年齢を指標とした生活習慣改善のイメージ

役割
KDDI総合研究所
ICTを活用した生活習慣データの収集、アプリによる行動変容手法の研究開発、生物学的年齢推定法の開発
IMM
コホートデータ収集、エピゲノム測定・解析、生物学的年齢推定法の開発
AMED
研究開発補助事業「東北メディカル・メガバンク計画」の推進・支援と成果の展開と社会実装促進
これまでの取り組みについて
  • KDDI総合研究所ではKDDIと共に、「スマートフォンのデータを活用した生活習慣病の重症化予防*1」などヘルスケア領域での「健康・生きがいづくり」に取り組んでいます。また、2020年12月に2030年を見据えた新たなライフスタイルを提案する研究拠点「KDDI research atelier*2」を開設し、AIやIoTなどを活用しながら、パーソナルデータに基づき生活者一人ひとりに合わせた生活習慣改善のアドバイスを行う「データヘルス」の研究開発を進めています。
    *1 KDDIプレスリリース2020年5月20日 生活習慣病の「オンライン重症化予防」高度化に向けたスマホデータ活用の実証実験を実施~オンライン生活指導の普及拡大に向け、KDDIグループとPREVENTが共同実験~
    *2 KDDI research atelier
  • IMMは東日本大震災の復興支援事業である東北メディカル・メガバンク計画の一環として、東北大学東北メディカル・メガバンク機構と共同で、文部科学省、復興庁、AMEDの支援の下、岩手県・宮城県の被災地を中心とした大規模ゲノムコホート研究を2013年より実施しており、ゲノム情報等の解析を通じて個別化医療・個別化予防の取り組みを行ってきた実績があります。
  • AMEDは研究開発補助事業「東北メディカル・メガバンク計画」の実施を通して、IMMの取り組むゲノムコホート研究、ゲノム情報解析を支援してきました。今後、得られた優れた成果のさらなる発展・展開、社会還元実現による個別化予防・医療の実現を求めています。
  • KDDI総合研究所とIMMは、2019年度の共同研究により、エピゲノム情報を用いることでその人の年齢を高精度に推定できることを確認しました。この推定年齢との差が大きいほど、生物学的年齢が加速または減速していると考えられます。年齢と相関するエピゲノムは既に複数知られていますが、新たに有効なエピゲノム変化を特定しており、これを用いることで日本人向けに最適な生物学的年齢の推定手法を構築できる見込みが得られました。
用語解説
(注1)東北メディカル・メガバンク計画
東北メディカル・メガバンク計画は、東日本大震災からの復興と、個別化予防・医療の実現を目指して、東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)とIMMを実施機関として、被災地の医療の創造的復興および被災者の健康増進に役立てるべく、平成25年より被災地を中心とした15万人規模の健康調査の実施及びその結果の回付、医療関係人材の派遣による地域医療支援を行います。またゲノム情報を含む前向き住民コホートの形成と、そこで得た試料・情報によるバイオバンクの構築により医療研究基盤を提供します。東北メディカル・メガバンク計画は、平成27年度より、AMEDが本計画の研究支援担当機関の役割を果たしています。
(注2)ゲノムコホート
健康な集団を中心に数年~数十年の長期にわたって追跡調査し、ゲノム情報を含めた網羅的な疫学・臨床情報をビッグデータ化し、疾患リスクを明らかにして疾病予防に役立てる研究。
(注3)エピゲノム
DNAの塩基配列の変化を伴わずに、可逆的に遺伝子のはたらきを調節する仕組みに基づいたDNA修飾情報で、代表的なものにDNAメチル化がある。遺伝子のオン・オフを制御するスイッチに相当する。
お問い合わせ先

研究内容に関して
岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構
副機構長 清水厚志

報道に関して
株式会社KDDI総合研究所 営業・広報部

岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構 広報・企画部門
部門長 遠藤龍人

AMED事業に関して
国立研究開発法人日本医療研究開発機構
ゲノム・データ基盤事業部 ゲノム医療基盤研究開発課

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