精子形成に重要なヒストンによるDNAの新たな折りたたみを解明

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2021-02-22 京都大学

杉山正明 複合原子力科学研究所教授、平野里奈 東京大学博士課程学生、胡桃坂仁志 同教授、柴田幹大 金沢大学准教授らの研究グループは、精子形成に重要なヒストンタンパク質H2A.Bが、DNA折りたたみの基盤構造であるヌクレオソームをダイナミックに構造変換する様子を世界で初めて解明しました。

精子の形成過程では、DNAの折りたたみによって形成される染色体構造が大きく変化していきます。染色体の基本単位であるヌクレオソームは、ヒストンタンパク質がDNAに巻き付くように結合した円盤状の構造体です。精子形成時には、ヒストンバリアントであるH2A.Bが発現して、染色体におけるDNA折りたたみ構造の変換に重要な役割を果たすと考えられていましたが、H2A.Bの機能については未だ不明な点が多く残されていました 。

H2A.Bヌクレオソームの性質の動態を明らかにするためには、解析に必要な大量かつ高純度のヌクレオソームを調製する必要があります。そこで、本研究グループは、精製したヒストンとDNAをもとに、H2A.Bを含むヌクレオソームを試験管内で再構成し、その動態を生化学的解析、高速原子間力顕微鏡解析、そしてX線小角散乱解析によって解明しました。 具体的には、H2A.Bを含むヌクレオソームが、ヒストンの複合体の一部が解離したような「開いた」構造を取ること、そしてH2A.Bが主要型のヒストンH2Aと自発的に置き換わるという特異的な性質を持つことを明らかにしました。これらのことから、H2A.Bを含むヌクレオソームが「開いた」構造を取ることで主要型ヒストンが結合しやすくなり、H2A.Bが押し出されてヒストンが置き換わると考えられました。

本研究で得られた知見は精子形成メカニズム解明に必要不可欠な基盤を提供するものであり、精子形成障害のメカニズムの解明・治療へつながることが期待されます。

本研究成果は、2021年2月12日に、国際学術誌「Communications Biology」に掲載されました。

染色体におけるDNA折りたたみのイメージ図
図:染色体におけるDNA折りたたみのイメージ図

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研究者情報
研究者名:杉山正明

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