ゼブラフィッシュ光遺伝学でALSの謎を照らす

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2021-04-07 国立遺伝学研究所

意識や五感が保たれたまま身体が動かなくなる難病、筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう、または、ALS)は、筋肉の収縮をコントロールする神経細胞「運動ニューロン」が、際立って機能を失うことが原因で発症します。ALSにおいて運動ニューロンが機能を失う根本的な原因は解明されておらず、現在、効果的な治療法が存在しません。運動ニューロンは、背骨の中を通っている脊髄の中に遺伝情報を維持し、そこから軸索(じくさく)とよばれる細長いケーブルを伸ばして筋肉と連結する大きく複雑な形をもった細胞です。このような運動ニューロンの性質から、ALSの発症に関連すると予想されるタンパク質のダイナミックな性質を生体内の運動ニューロンで研究することが困難であり、病態の解明の大きな障壁になっています。

この総説では、身体の組織が透明に近いので運動ニューロンの細胞全体をリアルタイムで詳しく観察できるという利点を備えたゼブラフィッシュの運動ニューロンと筋肉との接続様式について解説します。次に、このようなゼブラフィッシュの特性を活かして我々が近年開発した、生体内の運動ニューロンでALSに関連するタンパク質を光を使って会合させ、多量体化、相転移、凝集をコントロールする新しい技術について紹介します。この光遺伝学ALSモデルによって明らかにされたALSの謎や、治療戦略の可能性について議論します。

この総説は、国立遺伝学研究所発生遺伝学研究室(浅川和秀 客員研究員、川上浩一 教授)と東京医科大学ケミカルバイオロジー講座(浅川和秀 准教授、半田宏 特任教授)の共同研究として、せりか基金、文部科学省科研費 (JP19K06933 and JP20H05345)の支援を受けて行われました。

Figure1

図:ゼブラフィッシュ運動ニューロンにおいて、ALS関連タンパク質TDP-43の相転移を誘導。光遺伝学型TDP-43は、青色光の照射によって凝集体を形成する。

Illuminating ALS Motor Neurons With Optogenetics in Zebrafish

Kazuhide Asakawa, Hiroshi Handa, Koichi Kawakami

Frontiers in Cell Developmental Biology 9, 640414 (2021) DOI:10.3389/fcell.2021.640414

生物化学工学
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