骨代謝を制御する因子を発見

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2021-04-09 国立遺伝学研究所

健康な成人期の骨量は、骨の形成と吸収を調節する因子 (骨代謝調節因子)によって緻密にコントロールされており、このバランスが乱れることによって骨粗鬆症が引き起こされてしまいます。近年では骨代謝調節因子としてケモカインが注目されているものの、未だ多くのケモカインと骨との関連は調べられていません。

CCケモカインリガンド28 (CCL28)は腸管免疫などに寄与するケモカインですが、CCL28の受容体であるCCR3が骨代謝を制御することから、骨代謝におけるCCL28の役割を解明することを目的とし、実験を行いました。

Ccl28 欠損マウスの骨組織を解析したところ、Ccl28欠損により骨量が増加し、骨形成を担う骨芽細胞と骨吸収を担う破骨細胞が活性化していることが明らかになりました。これらの結果はCcl28を欠損マウスが骨形成優位の高回転型骨代謝状態にあることを示しています。加えて、培養細胞実験において、リコンビナントCCL28処理により骨芽細胞及び破骨細胞の活性化が直接抑制され、Ccl28欠損マウスを用いた実験結果と矛盾しない結果となりました。

CCL28が骨芽細胞及び破骨細胞の活性化を抑制する骨代謝調節因子であることがはじめて明らかになり、CCL28は生体内で骨代謝回転の制御に寄与する因子であると考えられます。

本研究は、静岡大学教育学部の雪田聡准教授、大学院生の岩本莉奈さんらとの共同研究で、遺伝研側はゲノム編集でCcl28遺伝子欠損マウスの作製を行いました。

Figure1

図:(a)μCTによって骨構造を解析した結果、Ccl28欠損によって海綿骨量が増加していることが明らかになりました。 (b)生体内及び培養細胞実験により、CCL28は骨組織において骨芽細胞及び破骨細胞の活性化を抑制することで、骨量を負に制御していることが見いだされました。

Chemokine ligand 28 (CCL28) negatively regulates trabecular bone mass by suppressing osteoblast and osteoclast activities

Rina Iwamoto, Takumi Takahashi, Kazuto Yoshimi, Yuji Imai, Tsuyoshi Koide, Miroku Hara, Tadashi Ninomiya, Hiroaki Nakamura, Kazutoshi Sayama, Akira Yukita

Journal of Bone and Mineral Metabolism 2021 March 15 DOI:10.1007/s00774-021-01210-9

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