細胞の老化が阻害されてがんが発生する仕組みをハエで解明

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マイクロRNAが細胞老化遺伝子を破壊してがん化を促進

2021-06-02 京都大学

井垣達吏 生命科学研究科教授、井藤喬夫 同研究員の研究グループは、細胞の老化が阻害されてがんが発生する仕組みをハエで解明しました。

がんは「がん遺伝子」の活性が高まることで引き起こされますが、それだけではがんは生じません。なぜなら、がん遺伝子が活性化すると細胞の増殖が促されるとともに「細胞老化」と呼ばれる現象が起こり、細胞の増殖を止めようとする働きが生まれるからです。つまり、細胞老化はがんの発生を防ぐバリアとして働いており、この機能がなくなるとがんの発生が促されます。しかし、がんが発生する際にどのようなメカニズムで細胞老化の機能が抑制されるのかはよくわかっていませんでした。

今回、本研究グループはショウジョウバエを用いてがんの発生メカニズムを解析する中で、ある特定の「マイクロRNA」が細胞老化を阻害し、がん化を促すことを発見しました。ヒトの多くのがんで活性化しているがん遺伝子「Ras」は、細胞老化を引き起こすことが知られています。ショウジョウバエの複眼でRasを活性化してもがん増殖は起こりませんが、がん促進タンパク質「Yorkie」(ヒトではYAP)を同時に活性化させると激しいがん増殖が起こることがわかりました。そのメカニズムとして、YorkieがマイクロRNAの発現を導き、これが細胞老化を引き起こすために必要な「Pointed」(ヒトではETS)と呼ばれる遺伝子を破壊することで細胞老化が起こらなくなり、がん化が促進されることがわかりました。

今回明らかになった細胞老化の制御メカニズムを標的として、新たながん治療法を開発できる可能性があります。

本研究成果は、2021年6月2日に、国際学術誌「Science Signaling」のオンライン版に掲載されました。


図:本研究の概要図

詳しい研究内容≫

研究者情報
研究者名:井垣達吏

メディア掲載情報
京都新聞(6月2日 23面)および日刊工業新聞(6月2日 23面)に掲載されました。

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