中高年女性におけるホットフラッシュの有症率 および不眠症状との関連

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2021-09-01 国立長寿医療研究センター

国立研究開発法人国立長寿医療研究センター(理事長:荒井秀典)老化疫学研究部の大塚礼部長らは、東京医科歯科大学茨城県地域産科婦人科学講座の寺内公一教授、アステラス製薬株式会社と共同で、中高年女性のホットフラッシュ(上半身が急に熱くなる感覚)の有症率および不眠症状との関連を論文発表しました。

更年期症状における血管運動神経症状(VMS)の主症状は、ホットフラッシュや寝汗が出ることです。更年期の健康状態に関する米国の大規模コホート研究SWAN(Study of Women’s Health Across the Nation)の報告では、閉経後の女性の最大80%が閉経移行期にVMSを経験することが示されています1)。また、特に、中等度から重度のVMSが不快感に加えて、うつ病や不眠症状と関連しており、QoL(クオリティ・オブ・ライフ)に大きく影響することも報告されています2)-5)。しかし、日本人地域在住女性のVMSに関する実態は十分に解明されていません。

本研究では、愛知県大府市と知多郡東浦町から無作為抽出した住民を対象とした「国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA; National Institute for Longevity Sciences – Longitudinal Study of Aging)」の第7次調査(2010-2012年)に参加した中高年女性1152名(40-91歳)を解析対象としました。VMSおよび不眠症状に関しては、自記式調査票を用いて回答を求めました。

VMSの主症状であるホットフラッシュに注目して結果を見てみると、中高年女性のホットフラッシュ有症率は、全体では24.5%でした。年齢階級別に見てみると(図1)、50-54歳群(45.2%)で最も高く、次いで55-59歳群(31.7%)でした。60歳以降でも約2割がホットフラッシュの症状を経験していることが報告されました。ホットフラッシュの重症度別(強、中、弱)でも、50-54歳で最も高いことが分かりました。

図1: ホットフラッシュの年齢階級別有症率(重症度別)

また、不眠症状の入眠不良(図2-左)と易覚醒性(図2-右)の有無を従属変数、ホットフラッシュの有無を説明変数、年齢、身体活動量、就寝時の排尿回数を調整変数としたロジスティック回帰分析の結果、調整後のオッズ比はいずれも2.1でした。すなわちホットフラッシュと不眠症状は有意な関連を示し、ホットフラッシュ有症群は不眠症状を経験しやすいことが示されました。

図2: ホットフラッシュと不眠症状(左:入眠不良/右:易覚醒性)の関連

更年期症状を経験している女性が必ずしも医療機関を受診するとは限らないため、これまで地域住民での有症率は不明でした。本研究により、地域在住の中高年女性におけるホットフラッシュ有症率、および、閉経後も有症率が比較的高い状態が続くことが明らかになりました。また、ホットフラッシュ有症者は不眠症状を経験しやすいことも分かりました。これらの知見は、今後の中高年女性のQoLの維持・増進に向けた施策に寄与する貴重な資料になることが見込まれます。

【注釈】

1) Gold EB, Colvin A, Avis N, Bromberger J, Greendale GA, Powell L, Sternfeld B, Matthews K. Longitudinal analysis of the association between vasomotor symptoms and race/ethnicity across the menopausal transition: study of women’s health across the nation. Am J Public Health. 2006 Jul;96(7):1226-35. doi: 10.2105/AJPH.2005.066936.

2) Thurston RC, Joffe H. Vasomotor symptoms and menopause: findings from the Study of Women’s Health across the Nation. Obstet Gynecol Clin North Am. 2011 Sep;38(3):489-501. doi: 10.1016/j.ogc.2011.05.006.

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