法面緑化の現状をヨモギの集団遺伝構造から解明

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地域生態系の保全を考慮した緑化に向けた基礎資料を提示

2021-11-08 京都大学

生物多様性の保全上重要な地域の法面緑化には、これまで使われてきた外来植物に代わって在来植物の利用が推奨されています。しかし、日本では、緑化に使用する在来種の産地に関する規制がないため、市販の緑化用種子の99%近くが中国を中心とした海外から輸入されています。

下野嘉子 農学研究科准教授、我妻総 同修士課程学生、今西純一 大阪府立大学教授、陶山佳久 東北大学教授、松尾歩 同助教らの研究グループは、緑化によく用いられる在来種ヨモギについて、日本各地の自生地や緑化地で採取した個体と、2種類の中国産緑化種子(中国原産の輸入種子と、日本原産種子を中国で栽培した逆輸入種子)から育成した個体について、遺伝的および形態的変異を評価しました。

自生地から採取した個体は、東日本と西日本間で遺伝的に分化していた一方で、緑化地には、西日本地域であっても東日本個体と

類似した個体が多いことがわかりました。逆輸入種子は東日本個体と近縁であったことから、東日本由来の緑化種子が日本全国の法面緑化に使用されていることが示唆されました。中国原産の個体は、日本の自生個体とは遺伝的にも形態的にも分化しており、海外からの輸入種子の緑化への使用は慎重に検討する必要があります。

本研究成果は、2021年10月29日に、国際学術誌「Restoration Ecology」のオンライン版に掲載されました。

法面緑化の現状をヨモギの集団遺伝構造から解明
図:自生地および緑化地から採集したヨモギの集団遺伝構造。円の位置は採集位置を、円のサイズは1地域の解析個体数を示す。円の色は推定された遺伝的グループを示し、色が同じであれば同じ遺伝的グループに属することを示す。

詳しい研究内容≫

研究者情報
研究者名:下野嘉子

細胞遺伝子工学
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