2026-11-04 東京大学
東京大学大学院医学系研究科の竹田誠教授らは、ブラジルの野生マーモセットから検出された犬ジステンパーウイルス(CDV)を解析し、ウイルスが霊長類の細胞に感染しやすくなるよう自然界で進化していたことを明らかにした。研究では、ウイルスが細胞に侵入する際に利用する受容体SLAMに着目。マーモセット由来ウイルスの受容体結合タンパク質(Hタンパク質)を調べた結果、519番目と530番目のアミノ酸置換(R519I、G530S)が、マーモセットSLAMの利用能力を高める重要な変化であることを突き止めた。さらに、この2つの変化はヒトSLAMを利用する能力も高めることが分かった。これは、動物ウイルスが新たな宿主に適応する過程で、別の動物種への感染に関係する性質も同時に獲得し得ることを示している。ただし、本研究はCDVがヒトに感染することや、感染リスクが差し迫っていることを示すものではない。野生動物を含む継続的なウイルス監視の重要性を示す成果である。

犬ジステンパーウイルスのマーモセットへの自然適応と受容体利用能の変化
<関連情報>
- https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400299925.pdf
- https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/32/12/26-0946_article
霊長類SLAM適応型イヌジステンパーウイルスの自然発生、ブラジル、2018年 Natural Occurrence of Primate SLAM-Adapted Canine Distemper Virus, Brazil, 2018
Mizuki Tominaga, Ayumu Hyodo, Shohei Kojima, Mitsuki Onodera, Hekai Yang, Fumio Seki, Yuki Kitai, Yukiko Akahori, Hiroshi Katoh, and Makoto Takeda
Emerging Infectious Diseases 2026
Abstract
We analyzed canine distemper virus (CDV) from a 2018 marmoset disease outbreak in Brazil. CDV hemagglutinin protein bound to the marmoset SLAM (signaling lymphocytic activation molecule) receptor through 2 amino acid substitutions within hemagglutinin, which also enhanced human SLAM receptor usage. Continued surveillance will be critical to monitor CDV cross-species transmission.

