2022-02

生物環境工学

生物多様性の決定機構に新仮説~「他種との相互作用をいくつまで持てるか」が鍵?~

環境DNAによる網羅的生物モニタリングと非線形時系列解析を駆使し、野外生物群集の相互作用と種数の関係を詳細に研究しました。生物が「他種とどのくらい相互作用できるか」すなわち「相互作用容量」が種数の決定に重要な役割を果たしていることを見出しました。今回発見した相互作用容量と種数の関係に基づいたモデルは、様々な生態系の生物種数を精度良く予測できることも発見しました。
医療・健康

睡眠休養感がカギを握る:健康維持・増進に役立つ新規睡眠指標の開発

朝の目覚めの時に生じる休まった感覚、すなわち「睡眠休養感」が成人の健康維持において重要であることを、米国睡眠研究資料(National Sleep Research Resource: NSRR)に含まれる疫学データを用いて明らかにしました。
生物化学工学

スプレーで植物を改変~簡便な非遺伝子組換え植物改変法の開発~

「細胞透過性ペプチド(CPP)」を基盤としたナノサイズの担体を用いてスプレーで噴霧することで、核酸を植物へ導入することに成功しました。この手法により、植物細胞内または葉緑体内で、導入した外来DNAから一過的にそのタンパク質を産生させ、また、siRNAの導入により植物細胞内で目的タンパク質の発現を抑制することに成功しました。
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医療・健康

血管ががん細胞を転移させるユニークな仕組みを解明~転移を抑える新たな抗がん剤の開発に期待~

がん内部の血管でのみ利用されている構造維持因子として、神経ガイダンス因子として知られてきたFLRT2を見出し、FLRT2の発現量がヒト大腸がんの予後と逆相関すること、血管でFLRT2を欠損したマウスでは、がんの転移が抑えられることを明らかにしました。
医療・健康

細菌一つを見分ける細菌叢計測法の開発~木(個々の細菌)と森(細菌叢)を同時に見る革新的手法~

多種・多数の細菌で構成される細菌叢中の個々の細菌を一つ一つ区別して極めて正確に細菌の種類と数を計測する手法を開発し、ビタミンA欠乏によるマウス腸内細菌叢の微少な変化を捉えることに成功しました。 腸内細菌に関連する病態の理解や診断に貢献するとともに、皮膚、口腔、植物、土壌、海洋、大気などのさまざまな器官や環境に存在する細菌叢の高精度計測へ発展させることで、幅広い科学分野への応用が期待できます。
生物環境工学

冬を耐える常緑樹と避ける落葉樹が共存する謎を解き明かす~葉の炭素の費用対効果が同等であることが鍵~

落葉樹と常緑樹、両者は全く違う生き方ですが、どうして同じ環境に共に生きられるのでしょうか。同所的に自生している落葉樹と常緑樹の葉における炭素の収支バランスを詳細に研究しました。常緑樹は冬の凍結に備えて、頑丈な葉を作るために、落葉樹よりも約2倍の炭素を必要とします。一方で、その投資は長期間の光合成によって補われ、炭素の費用対効果は、落葉樹でも常緑樹でも同程度でした。冬を避けるか耐えるかが、落葉樹と常緑樹の違いですが、炭素の収支バランスは同程度で、それがゆえに共存できるようです。
医療・健康

皮膚表面で産生されるペプチドのはたらきを発見~アトピー性皮膚炎、乾癬でも~

アトピー性皮膚炎や乾癬などの慢性の皮膚炎では、皮膚表面の「表皮」と、皮膚の免疫細胞との間に悪循環がおこって、炎症が慢性化していると考えられています。研究グループは、C10orf99というペプチドが、これらの皮膚炎で共通して、表皮の体表近くで大量に産生されることを見つけました。さらに、C10orf99ペプチドは皮膚のバリア成分の産生をへらすこと、また、C10orf99ペプチド自体が炎症をおこす作用をもつことを発見しました。
生物化学工学

情動行動を規定する新たなイオンチャネルの特定~忌避学習を制御する細胞内シグナル伝達経路の解明~

不快情動のひとつである忌避学習に関わる分子メカニズムを明らかにしました。マウス脳の側坐核において、忌避刺激が電位依存性カリウムチャネルKCNQ2のリン酸化レベルを亢進させることを明らかにしました。忌避刺激によるKCNQ2リン酸化は、ムスカリンM1受容体( M1R)やPKCの活性化を必要とすることが分かりました。側坐核でのKCNQ2欠損は忌避学習を促進させることが明らかになりました。
有機化学・薬学

シグナル伝達の「偏り」を生み出すリン酸化機構の解明~副作用を切り分けたGPCR作動薬の開発に貢献~

薬剤の主要な作用標的であるGタンパク質共役型受容体(GPCR)の機能を調節する因子のGPCRキナーゼ(GRK)について、その活性制御機構を明らかにしました。降圧薬の標的として知られる1型アンジオテンシンII受容体(AT1受容体)に関して、薬理作用の異なる作動薬が、別々のGRK選択性とβアレスチン機能を誘導することを見出しました。
生物化学工学

トンボの幼虫から成虫への変態に必須な遺伝子群の同定に成功

トンボが幼虫から成虫への変態に必要な遺伝子群を解析し、重要な3種類の転写因子を同定した。その中の一つで他の昆虫の「さなぎ」の形質を決定する転写因子が、さなぎの時期を持たないトンボでは、幼虫の形質を作り出す遺伝子と成虫の形質を作り出す遺伝子の両方をコントロールしていることを発見した。これは、昆虫の多様性を担う変態を解明する重要な成果である。
医療・健康

睡眠時の神経活動を作り出す数学的メカニズムの解明

睡眠時に特定の神経細胞で観察される活動パターン(睡眠紡ぼう錘すい波発火パターン)の新規数理モデルを構築し、モデルのシミュレーションと力学系理論に基づいて睡眠紡錘波発火パターンの制御メカニズムを明らかにしました。本モデルについて分子的・数学的に詳細に解析し、①カリウムチャネルの特性が睡眠紡錘波発火パターンの生成に重要な役割を果たすこと、および②神経細胞膜を通過する内向き・外向き電流のバランスが睡眠紡錘波発火パターンの密度および細胞内カルシウム濃度を制御し得ることを明らかにしました。
医療・健康

「糖尿病性腎臓病重症化予防プログラム(実証研究)」において、AIを活用した患者への保健指導を開始

糖尿病性腎臓病の重症化の予防と、患者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の改善に向けて、重症化に関連するリスク因子を算出するAIを活用した患者への保健指導を開始しました。
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