たんぱく質が「形」を保つ力の超並列測定法 ~たんぱく質科学のAI開発にも貢献~

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2023-07-20 東京大学,科学技術振興機構

ポイント
  • たんぱく質の構造的な安定性を超並列に測定する方法を開発した。
  • 従来は一度に1種類のたんぱく質についての構造安定性しか測定できなかったが、90万種類程度をまとめて測定することに成功した。
  • 疾患の原因となるアミノ酸変異の特定やたんぱく質医薬の効率的な合成を補助するAI開発への貢献が期待される。

東京大学 生産技術研究所 坪山 幸太郎 講師(研究当時、ノースウェスタン大学、ポスドク)と、ノースウェスタン大学 ガブリエル ロックリン 助教らによる研究グループは、たんぱく質の構造安定性を効率よく測定する方法の樹立に成功しました。

たんぱく質の構造安定性とは、たんぱく質が特定の機能的な構造をどれだけ保ちやすいかを示す指標で、機能を示すたんぱく質分子の割合を規定するため、非常に重要な性質の1つです。今までは、一度の実験で1種類のたんぱく質の構造安定性しか測定できなかったため、それらを比較、検証するためには多くの時間と費用がかかっていました。そこで、たんぱく質のアミノ酸配列情報をDNA配列情報へと変換する工夫などにより、約90万種類までのたんぱく質の構造安定性をまとめて一度の実験で測定することに成功しました。今まで測定されたたんぱく質の構造安定性を統合したデータベースは約3万種類のたんぱく質の情報にとどまっていましたので、過去に調べられた構造安定性データの累計に比べても、数十倍のデータを一度の実験で取得することができます。

近年、ChatGPTをはじめとする深層学習モデルを基礎としたAIが目覚ましい発達を遂げています。たんぱく質科学でもAIの導入が進んでいますが、たんぱく質の性質を予測するAIの構築には、膨大なデータを必要とします。今回の研究で取得された、構造安定性についての大規模なデータは、たんぱく質科学におけるAI開発のための基盤情報として役立つと考えられます。そのようなAIは、例えば疾患の原因となるアミノ酸変異の特定やたんぱく質医薬のより効率的な合成を補助することが期待されます。

本研究成果は、7月20日(日本時間)に英国科学雑誌「Nature」で公開されます。

本研究は、Northwestern University Startup Funding(Gabriel Rocklin Assistant Professor)、JSTさきがけ「人工タンパク質による、高次構造体の自由自在な解体・分解(課題番号:JPMJPR21E9)」の支援により主に実施されました。

<プレスリリース資料>
<論文タイトル>
“Mega-scale experimental analysis of protein folding stability in biology and design”
DOI:10.1038/s41586-023-06328-6
<お問い合わせ先>

<研究に関すること>
坪山 幸太郎(ツボヤマ コウタロウ)
東京大学 生産技術研究所 講師

<JST事業に関すること>
保田 睦子(ヤスダ ムツコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 ライフイノベーショングループ

<報道担当>
東京大学 生産技術研究所 広報室
科学技術振興機構 広報課

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